2020年11月02日

ユーロ圏失業率(2020年9月)-8%台前半にとどまるが先行きには暗雲

経済研究部 准主任研究員   高山 武士

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1.結果の概要:8%台前半にとどまる

10月30日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏19か国失業率(2020年9月、季節調整値)】
失業率は8.3%、市場予想1(8.2%)よりやや上振れ、前月(8.3%)と同水準だった(図表1)
失業者は1361.2万人となり、前月(1353.7万人)から7.5万人増加した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:改善基調にあるものの、先行きには暗雲

9月の失業率は市場予想をやや上回る8.3%となった。また8月までの改定値データでは、7月、8月ともに若干悪化した(8月改定前:8.1%→今回:8.3%、7月改定前:8.0%→今回:8.1%)。
(図表3)ユーロ圏(19か国)の失業者数変化 失業者数の変化は、6月57.6万人増をピークに、7月51.4万人増、8月30.4万人増、9月は7.5万人増と鈍化が続いている。また、失業者数も8月までの人数が上方改定(悪化方向に改定)されたが、世界金融危機と比較すると悪化ペースが抑制される傾向が続いている(図表3)。

若年者(25才以下)の失業率を見ると9月は17.6%となり、8月の18.3%(改定前:18.1%)から改善した(前掲図表2)。9月の若年失業者はフランスでは前月比で増加したが、ドイツ、イタリア、スペインでは前月から減少した。
国別の失業率を見ると(図表4)、8月はフランスなど6か国で失業率悪化、スペイン・イタリアなど9か国は失業率が改善した。若年層(図表5)は2か国で失業率悪化、12か国で失業率改善となり、全体で見ても若年失業率で見ても改善する国が悪化する国を上回った。

月次データを公表しているイタリアとポルトガルを見ると、9月単月ではイタリア、ポルトガルのいずれでも就業者が増加、失業者および非労働力人口が減少しており、雇用環境が改善する場合の典型的な変化を示した。ただし、水準で見るとコロナ禍前と比較して労働参加率が低く、非労働力人口も多い状態が続いている(図表6・7)。
(図表4)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表5)ユーロ圏の若年失業率(国別)
(図表6)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表7)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
各国では雇用維持政策を延長する一方で、感染第2波の急拡大により、再び行動制限を強化している。フランスやベルギーでは、医療体制のひっ迫のため、これまでの地域・業種を絞った制限から、全土規模の幅広い業種での活動制限、自宅待機の要請を実施している。他のユーロ圏各国も、これまで以上の制限強化を余儀なくされており、ダウンサイドリスクが顕在化している状況である。

各国では上半期よりも制限を緩くする方針を打ち出しているものの、対面サービス産業では再び経済活動を実施できなくなるなど、経済・雇用環境は予断を許さない状況と言える。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経済研究部   准主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、国際経済

(2020年11月02日「経済・金融フラッシュ」)

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【ユーロ圏失業率(2020年9月)-8%台前半にとどまるが先行きには暗雲】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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