2020年11月02日

ユーロ圏GDP(2020年7-9月期)-第2波前の成長率は大幅改善

経済研究部 准主任研究員   高山 武士

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1.結果の概要:予想を大きく上回る改善

10月30日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏GDPの一次速報値(Preliminary Flash Estimate)を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏19か国GDP(2020年7-9月期、季節調整値)】
前期比は+12.7%、市場予想1(+9.6%)から上振れ、前期(▲11.8%)から改善した(図表1)
前年同月比は▲4.3%、市場予想(▲7.0%)より上振れ、前期(▲14.8%)から改善した(図表2)

(図表1)ユ ーロ圏の実質GDP成長率(需要項目別寄与度)/(図表2)ユーロ圏の実質GDP成長率(需要項目別寄与度)
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想も同様。

2.結果の詳細:スペインの出遅れが目立つ、他の国は大幅改善

7-9月期の成長率は、前期比+12.7%(年率換算+61.1%)となり、前期比上昇率としては統計開始(1995年)以降で最も高い数値となった。これは、新型コロナの影響で急減した4-6月期の落ち込みからの反動増による部分が大きく、前年の水準と比較した前年同期比では▲4.3%とまだマイナス圏にとどまる。ただし、改善幅としては市場予想(前期比+9.6%、前年同期比▲7.0%)と比較してもかなり大きかった。

経済規模の大きい4か国の伸び率を見ると、前期比ではドイツ+8.2%、フランス+18.2%、イタリア+16.1%、スペイン+16.7%となった。4-6月期の落ち込みが大きい国ほど反発も大きい傾向があるため前年同期比の伸び率で見ると、ドイツ▲4.2%、フランス▲4.3%、イタリア▲4.7%、スペイン▲8.7%となり、スペイン経済の回復の遅れが目立つことが分かる(図表3)。

一方、米国と比較すると、米国は前年同期比で▲2.9%まで改善しているため、リトアニアなどの小国を除けばユーロ圏の多くの国の回復ペースは米国と比較して遅い。
(図表3)ユーロ圏の7-9月期GDP伸び率/(図表4)フランスの実質GDP水準
次にフランスとスペインは各国統計局(フランス国立統計経済研究所(INSEE)、スペイン統計局(INE))が項目別の内訳を公表しているので詳細を見ていきたい。

フランスの成長率(前年同期比)を需要項目別に見ると、個人消費▲1.9%(前期▲15.9%)、政府消費+0.4%(前期▲12.5%)、投資▲5.0%(前期▲22.0%)、輸出▲15.2%(前期▲31.5%)、輸入▲9.9%(前期▲21.9%)となり、相対的に輸出入は低迷が続いているが、消費や投資ではマイナス幅が大幅に縮小したことが分かる(図表4)。

供給別に見ると製造業が▲9.5%(前期:▲27.3%)、建設業が▲4.8%(前期:▲29.4%)、市場型サービス産業▲4.9%(前期▲17.0%)、非市場型サービス+0.8%(前期:▲13.8%)となり、4-6月期に落ち込みの大きかったサービス業は改善、むしろ製造業がやや出遅れる結果となった。
(図表5)スペインの実質GDP水準/(図表6)スペインの産業別GDP成長率(7-9月期)
スペインの成長率(前年同期比)を見ると、需要項目別には個人消費▲10.4%(前期▲25.2%)、政府消費+3.7%(前期+3.1%)、投資▲11.9%(前期▲25.8%)、輸出▲17.0%(前期▲38.1%)、輸入▲15.7%(前期▲33.5%)となり、フランスと同様に輸出入の低迷が目立つほか、スペインでは個人消費や投資の内需も2桁減が続いている(図表5)。

供給別には(図表6)、農林水産業、金融業、事務サービス業がプラスに転じたが、他の産業はマイナスに留まっている。4-6月期の落ち込みの大きかった卸・小売・運輸・住居・飲食業や、芸術・娯楽業が約2割のマイナスに留まる一方で、製造業の改善幅が大きくフランスと対照的と言える。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経済研究部   准主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、国際経済

(2020年11月02日「経済・金融フラッシュ」)

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