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2020年10月02日
欧州大手保険グループの2020年上期末SCR比率の状況-ソルベンシーⅡ等に基づく数値結果報告-
(3)トピック
Generaliは、2015年から、国際的な事業展開の最適化を図ることに取り組んでいるが、2020年に入ってからの取引のいくつかは、以下の通りである。
2020年1月8日に、2019年7月に発表したポルトガルでのSeguradoras Unidasとサービス企業のAdvanceCareの100%買収が完了した。この買収は、Generaliの欧州でのリーダーシップ強化を目指すグループの3カ年戦略を実行する上で重要なステップとなる、と述べている。
2020年3月13日に、2019年5月7日の株主総会決議に基づき、Generali Groupの従業員のための最大600万株の株式買い戻しを開始すると公表した。
Generaliは、2020年7月に、2022年に最初のコール可能な6億ユーロ相当の劣後債と、第2回グリーン債を無事発行したと公表した。グリーン/SRIのマンデートを持つファンドの代表格を含む、高度に分散化された約350の国際機関投資家ベースから、オファーの7倍以上の45億ユーロのオーダーブックを引きつけた。としている。今回の買戻しと新株発行により、2019年9月に実施した同様の負債管理に沿って、金融負債の支払利息のさらなる削減を実現することができることになる。
Generaliは、2015年から、国際的な事業展開の最適化を図ることに取り組んでいるが、2020年に入ってからの取引のいくつかは、以下の通りである。
2020年1月8日に、2019年7月に発表したポルトガルでのSeguradoras Unidasとサービス企業のAdvanceCareの100%買収が完了した。この買収は、Generaliの欧州でのリーダーシップ強化を目指すグループの3カ年戦略を実行する上で重要なステップとなる、と述べている。
2020年3月13日に、2019年5月7日の株主総会決議に基づき、Generali Groupの従業員のための最大600万株の株式買い戻しを開始すると公表した。
Generaliは、2020年7月に、2022年に最初のコール可能な6億ユーロ相当の劣後債と、第2回グリーン債を無事発行したと公表した。グリーン/SRIのマンデートを持つファンドの代表格を含む、高度に分散化された約350の国際機関投資家ベースから、オファーの7倍以上の45億ユーロのオーダーブックを引きつけた。としている。今回の買戻しと新株発行により、2019年9月に実施した同様の負債管理に沿って、金融負債の支払利息のさらなる削減を実現することができることになる。
4|Aviva
Avivaは、引き続き会社ベースと監督ベースの2つのソルベンシー比率を開示している。
Avivaの以下の数値は、会社の株主ビューによるもので、完全に区分された(ring-fenced)有配当ファンド(2020年上期末で24億ポンド)、職員年金制度(2020年上期末で11億ポンド)のSCRと自己資本が除かれている。完全に区分された有配当ファンドと職員年金制度は、SCRを上回るいかなる資本もグループで認識されておらず、ソルベンシーII資本ベースでは自立していることから、会社の株主ビューは、株主のリスク・エクスポジャーと適格自己資本でSCRをカバーするグループの能力をより適切に表している、としている。
(1)SCR比率の推移
ソルベンシーII資本剰余は、2020年上期末に、基礎的な営業利益の計上により、資本形成が図られたものの、金利低下を主因とする非営業資本形成のマイナスの影響により、2019年末の126億ポンドから7億ポンド減少して119億ポンドとなった。一方で、SCRは2019年末の119億ポンドから8億ポンド増加して127億ポンドとなったことから、会社ベースのSCR比率は、2019年末の206%から、12%ポイントと大きく低下して、194%となった。
また、監督ベースの数値も、8%ポイント低下して、177%となった。
Avivaは、引き続き会社ベースと監督ベースの2つのソルベンシー比率を開示している。
Avivaの以下の数値は、会社の株主ビューによるもので、完全に区分された(ring-fenced)有配当ファンド(2020年上期末で24億ポンド)、職員年金制度(2020年上期末で11億ポンド)のSCRと自己資本が除かれている。完全に区分された有配当ファンドと職員年金制度は、SCRを上回るいかなる資本もグループで認識されておらず、ソルベンシーII資本ベースでは自立していることから、会社の株主ビューは、株主のリスク・エクスポジャーと適格自己資本でSCRをカバーするグループの能力をより適切に表している、としている。
(1)SCR比率の推移
ソルベンシーII資本剰余は、2020年上期末に、基礎的な営業利益の計上により、資本形成が図られたものの、金利低下を主因とする非営業資本形成のマイナスの影響により、2019年末の126億ポンドから7億ポンド減少して119億ポンドとなった。一方で、SCRは2019年末の119億ポンドから8億ポンド増加して127億ポンドとなったことから、会社ベースのSCR比率は、2019年末の206%から、12%ポイントと大きく低下して、194%となった。
また、監督ベースの数値も、8%ポイント低下して、177%となった。
(3)トピック
2019年3月にAvivaのグループCEOに就任したMaurice Tulloch氏は、複雑な事業体構成を見直し、より強い説明責任と経営の焦点化を図る観点から、英国の生命保険と損害保険事業を分割すると述べ、また、アジア事業の戦略的選択肢を検討していくと述べており、これにより最大20億ドルの価値のある取引でアジア事業を売却すると想定されていた。2020年に入ってからの主な取引は以下の通りである。
2020年3月6日に、インドネシアの合弁会社PT Astra Aviva Life,の株式をAvivaの合弁パートナーであるPT Astra International Tbkに売却し、インドネシアから撤退することに合意したと発表した。この取引は2020年第4四半期に完了する予定である。
2020年7月16日には、Friends Provident International Limited (FPIL)の、International Financial Group Limited (IFGL).の子会社であるRL360 Holding Company Limited (RL360)への売却完了を確認した。
2020年9月11日には、Aviva Singaporeの過半数の株式をSingapore Life Ltd (Singlife)が率いるコンソーシアムに売却し、国内有数の保険会社の創設を支援することに合意した。この取引は、規制当局の承認を含む慣習的な終了条件の対象となり、2021年1月までに完了する予定である。
2019年3月にAvivaのグループCEOに就任したMaurice Tulloch氏は、複雑な事業体構成を見直し、より強い説明責任と経営の焦点化を図る観点から、英国の生命保険と損害保険事業を分割すると述べ、また、アジア事業の戦略的選択肢を検討していくと述べており、これにより最大20億ドルの価値のある取引でアジア事業を売却すると想定されていた。2020年に入ってからの主な取引は以下の通りである。
2020年3月6日に、インドネシアの合弁会社PT Astra Aviva Life,の株式をAvivaの合弁パートナーであるPT Astra International Tbkに売却し、インドネシアから撤退することに合意したと発表した。この取引は2020年第4四半期に完了する予定である。
2020年7月16日には、Friends Provident International Limited (FPIL)の、International Financial Group Limited (IFGL).の子会社であるRL360 Holding Company Limited (RL360)への売却完了を確認した。
2020年9月11日には、Aviva Singaporeの過半数の株式をSingapore Life Ltd (Singlife)が率いるコンソーシアムに売却し、国内有数の保険会社の創設を支援することに合意した。この取引は、規制当局の承認を含む慣習的な終了条件の対象となり、2021年1月までに完了する予定である。
地域別のソルベンシー比率は、以下の図表の通りとなっている。
・オランダのソルベンシーII比率は、主にソルベンシーIIベースでの過剰なヘッジポジションによりプラスの影響を及ぼした金利に牽引されて増加した。また、スプレッドの上昇により負債の価値が低下したため、全体的な信用スプレッドは中立だったが、債券資産の価値が悪影響を受けた。
・英国のソルベンシーII比率は、低金利による悪影響により減少した。効果的なヘッジの結果として、株式市場の下落はソルベンシーII比率に影響を与えなかった。
・米国では、金利の低下による影響が大きく、株式とクレジットも格付けの移行とクレジットデフォルトがRBC比率に14%ポイントの悪影響を及ぼした。不利な死亡率によりRBC比率が10%ポイント低下した。経営陣の行動はプラスの影響を及ぼした(新しい変額年金フレームワークの実装が洗練され、キャプティブ再保険会社が再編成され、どちらもRBC比率のボラティリティを低下させた。さらに、ヘッジファンドの売却を含むリスク軽減活動も貢献した)。
なお、米国保険会社のRBC比率のソルベンシーIIへの換算については、毎年見直し、DNB(オランダ中央銀行)の了解を得ているが、2020年上期末の407%は160%に相当していると報告されている。
・オランダのソルベンシーII比率は、主にソルベンシーIIベースでの過剰なヘッジポジションによりプラスの影響を及ぼした金利に牽引されて増加した。また、スプレッドの上昇により負債の価値が低下したため、全体的な信用スプレッドは中立だったが、債券資産の価値が悪影響を受けた。
・英国のソルベンシーII比率は、低金利による悪影響により減少した。効果的なヘッジの結果として、株式市場の下落はソルベンシーII比率に影響を与えなかった。
・米国では、金利の低下による影響が大きく、株式とクレジットも格付けの移行とクレジットデフォルトがRBC比率に14%ポイントの悪影響を及ぼした。不利な死亡率によりRBC比率が10%ポイント低下した。経営陣の行動はプラスの影響を及ぼした(新しい変額年金フレームワークの実装が洗練され、キャプティブ再保険会社が再編成され、どちらもRBC比率のボラティリティを低下させた。さらに、ヘッジファンドの売却を含むリスク軽減活動も貢献した)。
なお、米国保険会社のRBC比率のソルベンシーIIへの換算については、毎年見直し、DNB(オランダ中央銀行)の了解を得ているが、2020年上期末の407%は160%に相当していると報告されている。
(3)トピック
2020年7月11日、DNBは、ソルベンシーII比率における銀行の扱いに関する業界全体のガイドラインを発表した。その結果、Aegonは今後のグループソルベンシーII比率の計算にAegon Bankを含めることになり、この変更は、Aegonの資本配分決定に影響を与えることになる。この変更は、最終的には 2020 年末までに実装される予定で、2020年3月31日のAegonの資本ポジションに基づくこの変更の推定のマイナスの影響は、グループソルベンシーII比率で4%ポイントとなると報告されている。
Aegonは、2018年7月3日にBanco SantanderがBanco Popular.を買収した後、生命保険と損害保険のパートナーシップを拡大することに合意していたが、2020年7月30日に、この拡大が完了したことを発表した。この取引は、グループソルベンシーII比率に対して3%ポイントのマイナスの影響を及ぼす。
なお、Aegonは、2019年から2021年までの3年間で41億ユーロの通常の資本形成(市場の影響や一時的な要素によるものを除く)を行う目標を立てていた。また、ポートフォリオの最適化を推進している。さらに、Aegonは、2025年末までに、グランドファザー証券をソルベンシーII対応証券に置き換えることを計画しており、2020年以降も計画に従って着実に借り換えを進めていくことになっている。
2020年7月11日、DNBは、ソルベンシーII比率における銀行の扱いに関する業界全体のガイドラインを発表した。その結果、Aegonは今後のグループソルベンシーII比率の計算にAegon Bankを含めることになり、この変更は、Aegonの資本配分決定に影響を与えることになる。この変更は、最終的には 2020 年末までに実装される予定で、2020年3月31日のAegonの資本ポジションに基づくこの変更の推定のマイナスの影響は、グループソルベンシーII比率で4%ポイントとなると報告されている。
Aegonは、2018年7月3日にBanco SantanderがBanco Popular.を買収した後、生命保険と損害保険のパートナーシップを拡大することに合意していたが、2020年7月30日に、この拡大が完了したことを発表した。この取引は、グループソルベンシーII比率に対して3%ポイントのマイナスの影響を及ぼす。
なお、Aegonは、2019年から2021年までの3年間で41億ユーロの通常の資本形成(市場の影響や一時的な要素によるものを除く)を行う目標を立てていた。また、ポートフォリオの最適化を推進している。さらに、Aegonは、2025年末までに、グランドファザー証券をソルベンシーII対応証券に置き換えることを計画しており、2020年以降も計画に従って着実に借り換えを進めていくことになっている。
6|Zurich
Zurichは、ソルベンシーII制度の対象会社ではないが、ソルベンシーIIに同等と考えられているSST(スイス・ソルベンシー・テスト)による数値と社内の経済的ソルベンシー比率であるZ-ECM(Zurich Economic Capital Model)を公表している。
Z-ECMはソルベンシーIIやSSTとは異なり、UFRを使用していないことから、EU諸国を親会社としている保険グループと比べて、金利低下の影響をより受けることになる。
(1)SCR比率の推移
2020年上期末のソルベンシー比率(Z-ECM比率)は、COVID-19の影響を受けた営業利益の計上により+3%ポイント、7.5億ユーロの劣後債発行等により+8%ポイント、のプラス要素があったものの、低金利や社債スプレッドの拡大及び変動性の増加等による市場の変動で▲33%ポイント、配当支払いで▲4%ポイントのマイナス要素があったため、結果として、2019年末の129%から、27%ポイントと大きく低下して、102%となった。
なお、SST比率についても、監督当局であるFINMAと合意した内部モデルで算出しているが、2019年末の222%から37%と大きく低下して185%となった。
Zurichは、ソルベンシーII制度の対象会社ではないが、ソルベンシーIIに同等と考えられているSST(スイス・ソルベンシー・テスト)による数値と社内の経済的ソルベンシー比率であるZ-ECM(Zurich Economic Capital Model)を公表している。
Z-ECMはソルベンシーIIやSSTとは異なり、UFRを使用していないことから、EU諸国を親会社としている保険グループと比べて、金利低下の影響をより受けることになる。
(1)SCR比率の推移
2020年上期末のソルベンシー比率(Z-ECM比率)は、COVID-19の影響を受けた営業利益の計上により+3%ポイント、7.5億ユーロの劣後債発行等により+8%ポイント、のプラス要素があったものの、低金利や社債スプレッドの拡大及び変動性の増加等による市場の変動で▲33%ポイント、配当支払いで▲4%ポイントのマイナス要素があったため、結果として、2019年末の129%から、27%ポイントと大きく低下して、102%となった。
なお、SST比率についても、監督当局であるFINMAと合意した内部モデルで算出しているが、2019年末の222%から37%と大きく低下して185%となった。
(3)トピック
Zurichは、2020年に入ってから、以下のような債券の発行を行ってきている。
2020年2月17日に、2億5,000万スイスフランの無担保シニア債の発行に成功したことを発表した。この債券は2032年8月に満期を迎える。この取引はスイスの投資家を対象としている。
2020年2月18日に、2億米ドルの無担保シニア債の発行に成功したことを発表した。この債券は2030年2月に満期を迎える。この取引はアジアの投資家を対象としている。
2020年6月9日に、7億5,000万ユーロの期限付き劣後債の発行に成功したことを発表した。この債券は、2050年9月に満期を迎え、2030年6月に最初にコール可能で、Zurich Finance (Ireland) DACによって発行される。
2020年9月18日に、2億ユーロの期限付き劣後債の発行に成功したことを発表した。この債券は、2052年12月に満期を迎え、2032年9月に最初にコール可能で、Zurich Finance (Ireland) DACによって発行される。
Zurichは、2020年に入ってから、以下のような債券の発行を行ってきている。
2020年2月17日に、2億5,000万スイスフランの無担保シニア債の発行に成功したことを発表した。この債券は2032年8月に満期を迎える。この取引はスイスの投資家を対象としている。
2020年2月18日に、2億米ドルの無担保シニア債の発行に成功したことを発表した。この債券は2030年2月に満期を迎える。この取引はアジアの投資家を対象としている。
2020年6月9日に、7億5,000万ユーロの期限付き劣後債の発行に成功したことを発表した。この債券は、2050年9月に満期を迎え、2030年6月に最初にコール可能で、Zurich Finance (Ireland) DACによって発行される。
2020年9月18日に、2億ユーロの期限付き劣後債の発行に成功したことを発表した。この債券は、2052年12月に満期を迎え、2032年9月に最初にコール可能で、Zurich Finance (Ireland) DACによって発行される。
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【欧州大手保険グループの2020年上期末SCR比率の状況-ソルベンシーⅡ等に基づく数値結果報告-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
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