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「家計調査」で見る足元の消費-6月は個人消費改善、巣ごもり消費は4~5月ピーク、今後は?

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- 5月の個人消費はリーマンショックや東日本大震災後を上回る大幅な落ち込みを示したが、6月の個人消費は、緊急事態宣言が解除されて経済活動が再開し、国民1人当たり10万円の「特別定額給付金」の給付も始まったことで上向きに転じている。
- 消費支出の内訳を見ると、3月以降、旅行やレジャー、外食などの外出型消費が激減し、食料品やゲームなどの需要が高まる「巣ごもり消費」が見られてきたが、全体的に4~5月をピークに6月は傾向が転じている。
- ただし、外出型消費の回復には温度差があり、交通費の実質増減率の減少幅は、航空運賃(▲83.5%)>電車運賃(▲69.7%)>バス代(▲61.0%)の順に大きく、移動距離が長い公共交通機関ほど戻りが鈍い。また、宿泊費は▲57.9%まで戻ったが、パック旅行費は未だ▲90.7%にとどまる。
- レジャーでも回復に温度差があり、緊急事態宣言解除後に早期に休業要請が緩和された美術館や博物館などの文化施設入場料(▲47.8%)に対して、映画館・演劇等入場料(▲95.6%)や遊園地入場料・乗物代(▲86.1%)の減少幅は2倍程度に大きい。
- 7月の個人消費は、感染が再拡大する中でも消費者の動きが活発化し、給付金の好影響も続くことで、引き続き上向く可能性もある。一方で8月以降は、お盆の帰省をはじめとした外出行動の自粛や、急速に悪化する雇用環境の影響も相まって、改善傾向は足踏み、あるいは後退する可能性もあり、注視する必要がある。
■目次
1――足元の個人消費
~リーマンショックや東日本大震災を上回る大幅な落ち込みから6月は改善
2――消費内訳の変化
~外出型消費激減・巣ごもり消費増は4~5月がピークだが、回復に温度差も
3――夏以降の個人消費
~感染再拡大、収入減少で改善に足踏み、後退の可能性も
(2020年08月24日「基礎研レター」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
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