2020年08月19日

米住宅着工・許可件数(20年7月)-着工件数は149.6万件、許可件数は149.5万件。着工、許可件数ともに市場予想を大幅に上回る

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:着工、許可件数ともに市場予想を大幅に上回る増加

8月17日、米国センサス局は7月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は149.6万件(前月改定値:122.0万件)と118.6万件から上方修正された前月値を大幅に上回ったほか、市場予想の124.5万件(Bloomberg集計の中央値)も大幅に上回った(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は149.5万件(前月改定値:125.8万件)と、こちらも124.1万件から上方修正された前月、市場予想の132.6万件を大幅に上回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:新型コロナで落ち込んだ春先から急回復。歴史的な低金利などが追い風

住宅着工件数の伸びは、前月比+22.6%(前月:+17.5%)と3ヵ月連続のプラスとなったほか、前月から伸びが加速した(図表3)。内訳をみると、戸建てが+8.2%(前月:+19.4%)と伸びが鈍化したものの、集合住宅が+58.4%(前月:+13.2%)と伸びが加速して全体を押し上げた。

前年同月比では+23.4%(前月:▲1.2%)と4ヵ月ぶりにプラスに転じた。戸建てが+7.4%(前月:+0.5%)と伸びが加速したほか、集合住宅が+65.0%(前月:▲5.1%)と大幅なプラスに転じて全体を押し上げた。

地域別寄与度(前月比)は、南部が+17.0%ポイント(前月:+10.6%ポイント)と2ヵ月連続で2桁の伸びとなったほか、北東部が+3.4%ポイント(前月:+4.5%ポイント)、中西部が+0.9%ポイント(前月:+4.6%ポイント)、西部が+1.4%ポイント(前月:▲2.2%ポイント)とすべての地域でプラスとなった(図表4)。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+18.8%(前月:+3.5%)と3ヵ月連続でプラスとなったほか、前月から伸びが加速した(図表5)。戸建てが+17.0%(前月:+12.6%)と2桁の増加となったほか、集合住宅が+22.5%(前月:▲11.1%)と前月から大幅なプラスに転じた(図表6)。

前年同月比は+9.4%(前月:▲1.2%)と4ヵ月ぶりにプラスに転じた。集合住宅が▲0.6%(前月:▲2.8%)とマイナスととなったものの、戸建てが+15.5%(前月:▲0.4%)とプラスに転じた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、8月が78(前月:72)と前月比+6ポイント上昇し、85年の統計開始以来最高となった(図表7)。

指数の内訳は販売現況が84(前月:78)、販売見込みが78(前月:75)、客足が65(前月:57)と3指数ともに前月から上昇した。とくに、客足は統計開始以来最高となるなど回復が顕著となった。

住宅市場の回復は、歴史的低金利に加え、建設作業が感染対策の行動制限対象とならなかったことが大きい。もっとも、NAHBは住宅需要を背景にした木材価格の急騰が住宅市場回復の障害となる可能性を示唆しており、今後の雇用情勢と併せて住宅市場の回復持続性をみる上で注目される。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2020年08月19日「経済・金融フラッシュ」)

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