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人口動態データ解説-東京一極集中の「本当の姿」(上)
生活研究部 人口動態シニアリサーチャー 天野 馨南子
「若い人が東京に出て行ってしまって、地方の過疎と都市の過密が加速化している」
数年前だっただろうか。東京都の小学生が進学塾で「カソトカミツ!」をパワーワードとして習い、大合唱して帰ってきていたのを覚えている。
それくらい誰でも知っているはずの日本の人口動態問題であるが、その実態をしっかり把握している人は少ない。
講演会においてデータをもとに日本における人口動態の最大の課題「東京一極集中」を解説すると、悲鳴にも似た驚きの声があがる。
そこで、本レポートでは国の統計データをもとに解説を行い、東京一極集中問題を読者が考える際の「正確な前提条件」を提示してみたい。
社会事象を把握する際、定量的に実態を推量する方法と、定性的に推量する方法がある。
定量的な把握はビッグデータになると社会事象の「森」の姿を正確に示し、定性的な把握はその森に存在する「木や一部の林」いわゆる「肌感覚」を示す。
「森の姿」は実態を正確に映し出すものの、その中身についてどうしてそうなるのか詳細が見えてこないことや、ともすると因果関係の誤訳を招くこともある。
「木や林の姿」は一部の人々には共感度が高く、物事を動かしやすくするものの、全体像への政策的な影響が小さかったり、全体把握と混同することによって誤解をもたらし、ともすると本来向かうべき方向を見失なわせてしまうことも少なくない。
いずれにしても、森の把握なくして、木や林の位置づけを正確に知ることはできず、社会事象への取り組みの効果を大きくすることは困難である。
本稿が東京一極集中への正確な把握と、それをふまえた施策立案の一助となることを願いたい。
■目次
はじめに-正しい数字の収集と解釈を
1――注目すべきは「転出・転入の差」
2――転入超過エリアは女性の定着力に強みを持つ
3――東京の吸引力なのか、地方の課題なのか
03-3512-1878
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