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令和元年2019人口動態データ分析-強まる東京「女性」一極集中(1)~追い上げをみせる大阪府、愛知県は社会減エリアへ
生活研究部 人口動態シニアリサーチャー 天野 馨南子
はじめに
1月に昨年2019年の住民基本台帳における47都道府県の人口社会増減データがオープンとなったので、最新の社会移動動向をシリーズで紹介したい。
なお、以下の結果を見る前に、『女性人口の社会移動純増減が都道府県の子ども人口増減率差異の決定要因となっている(出生率は相関なし)』ということについて述べた筆者レポート、「人口減少社会データ解説「なぜ東京都の子ども人口だけが増加するのか」(上)-10年間エリア子ども人口の増減、都道府県出生率と相関ならず-」(2019年6月10日)についてもご参照いただければ、より一層、以下のデータの解釈が深まるため、ご一読いただければ幸甚である。
2019年 社会純増(入替え規模)は対前年109%へ、女性>男性をキープ
i 2018年の総数における流入超過と男女の内訳が合わないことに関しては、2019年と異なり、男女の転入と転出がプラスマイナス逆になっているエリア(大阪府や群馬県)が存在していることに起因する。総数では転入超過または転出超過のいずれかに属しているエリアが、男性と女性それぞれのケースでは、転入超過と転出超過それぞれ別に属することとなるエリアがでてくることによって生じる。
人口移動によって人口増加したのは引き続き8エリアのみ―ただし愛知県がランク外へ
大阪府は2018年から、対男性でみた女性の社会増加力増加傾向がすでにみられていた。2018年は実数こそ東京都の1/11の女性増加力であったものの、男性を1702人減らす一方で女性を4090人増やす、という、統計的に見て全国唯一の「男性はさておき、女性吸引力強化」がみられたエリアであった。
大阪府は2019年も引き続き、男性の純増規模に対して大きく女性の純増規模を強めるという徹底した女性吸引力強化をみせ、東京都の1/7の増加数にまで勢いを伸ばしてきている。
関西最大の中核都市をもつエリアとして、今後の女性吸引力とそれと高い相関を持つ出生数の伸びに期待したい。
一方、2018年は社会人口増加エリアで5位にランクインしていた愛知県が、人口社会減少県へと転落し、増加エリアへのランクインを果たせなかった。
愛知県は2018年において三大都市をもつエリアでは唯一、女性よりも男性を増加させている(女性増加/男性増加が56%だった)点で、大都市を持つエリアらしからぬ「人口減少県的な」人口動態特徴をみせていた。
「女性流出を追うように男性が流出する」(逆に東京都へ女性を追うように男性が流入する)東京一極集中の人口移動のこの四半世紀推移の特徴からみて、愛知県に関して人口減少エリア化ランプが筆者の中では点滅していたため、予想通りの展開となった。愛知県は2019年に関しては女性よりも男性が大きく減っており、人口減少フェーズにあるエリアの「女性減>男性減」という現象とは反対する動きを見せてはいるものの、男女ともに社会増加エリアから減少エリアに転じているため、エリアの人口動態に関する政策への見直しが迫られているともいえる。
次回は、2019年に社会移動によって人口を減少させた39エリアについての状況を見てみることにしたい。
ii 大阪府は2018年には男性を1702人減らし、女性を4090人増やしたので、単純な男性女性増加バランス計算ができない。そのため男性を減らした分を女性側に加算した5792人と1702人で計算すると3.4倍の距離感のバランスとなっている。2019年は両者のバランスをさらに大きく女性よりに変えてきている。
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(2020年02月25日「研究員の眼」)
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