2020年06月03日

キャッシュレスを学ぼう(4)-電子決済等代行業

保険研究部 常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長 松澤 登

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■要旨

電子決済等代行業者は預金者と銀行の間を仲介する業者である。電子決済等代行業には更新系と参照系の二つの種類がある。更新系は預金者の送金指図を銀行に伝達するものであり、たとえば預金残高に余剰があるなどの情報を提供し、貯蓄商品の購入を促すサービスなどとセットされて提供される。
 
もう一つの参照系は、銀行口座の取引履歴や残高表示を仲介するもので、複数の銀行や証券口座などの情報を合わせて表示するといった家計簿アプリといった形で提供されている。
 
電子決済等代行業は従来、スクレイピングという方式によっていた。スクレイピングとは、電子決済等代行業者が、預金者から銀行ID(口座番号)とパスワードを取得し、これらを利用してインターネットバンキングにログインし、取引や情報取得を行うものである。
 
2017年改正の銀行法では、銀行に対してオープンAPI(銀行システムへの接続仕様を広く電子決済等代行業者に開放するもの)を求めるとともに、電子決済等代行業者に銀行と契約を締結することを求めることした。オープンAPI方式をとることで、IDやパスワードを電子決済等代行業者が取得せずに済むため、情報漏えいや不正利用のリスクが軽減された。
 
更新系の接続のための契約締結期限はすでに過ぎているが、参照系の接続契約締結期限は2020年5月末とされ、さらに新型コロナ感染の影響で2020年9月末まで延長されている。

■目次

1――はじめに
2――電子決済等代行業とは何か
3――電子決済等代行業への規律
  1|電子決済等代行業(更新型)
  2|電子決済等代行業者(参照型)
4――電子決済等代行業にかかる規制の概要
  1|電子決済等代行業者にかかる規制
  2|電子決済等代行業者の銀行との契約締結義務
  3|銀行が行うべき措置
  4|電子決済等代行業と銀行代理業
5――おわりに
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保険研究部   常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長

松澤 登 (まつざわ のぼる)

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

経歴
  • 【職歴】
     1985年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
     2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
     2018年4月 取締役保険研究部研究理事
     2021年4月より現職

    【加入団体等】
     東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
     東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
     大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
     金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
     日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等

    【著書】
     『はじめて学ぶ少額短期保険』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2024年02月

     『Q&Aで読み解く保険業法』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2022年07月

     『はじめて学ぶ生命保険』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2021年05月

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