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新型コロナでJリート市場は一時▲49%下落。過去のショック安局面と比較するーリーマンショック級のダメージを回避できるか
基礎研REPORT(冊子版)5月号[vol.278]

金融研究部 不動産調査室長 岩佐 浩人
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過去のショック安の局面を振り返ると、重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行に見舞われた2002~03年を除いて、研究員の眼Jリート市場も大きく下落し、株式市場と並ぶ下落率を記録している[図表2]。
Jリート投資の本質は賃貸不動産を通じて日本経済の生み出す果実を享受することである。受け取る手段が異なるだけで、収益の源泉は株式と同じく日本経済であり、経済成長なくしてリターンは望めない。金融市場の動揺が落ち着くまでの間、Jリート市場も不安定な値動きが続くことが予想される。
また、ボトム時点のバリュエーションはP/NAV倍率*で0.63倍、10年国債利回りに対するイールドスプレッドで6.6%と、リーマンショック時(0.53倍、8.2%)以来の割安な水準となった[図表3]。
米国では無制限の量的緩和と2兆ドル規模の経済対策が決まったが、この危機を克服すべく、各国の足並みを揃えた国際協調とさらなる連帯が求められる。
いずれにせよ、コロナ禍の終息には予防ワクチンと治療薬の開発が待たれるが、分断された社会の絆を修復するには多くの時間を要することであろう。それまでの間、経済ショックを緩和する財政出動や金融ショックを防ぐ金融政策はもとより、医療・教育・福祉など国民生活を支えるセーフティネットへの目配りが欠かせない。
感染拡大の状況は日増しに悪化しているが、Jリート市場も社会の公器としての役割を全うすることを期待したい。
*P/NAV倍率とは、市場時価総額がリートの解散価値(NAV:Net Asset Value)の何倍で評価されているかを表わす指標
(2020年05月12日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1858
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
2005年 ニッセイ基礎研究所
2019年4月より現職
【加入団体等】
・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
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