2020年03月04日

バランス型投信の人気が高かった2019年

金融研究部 准主任研究員   前山 裕亮

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2019年の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以後、投信)の資金流出入をみると、様々な資産を組み入れているバランス型投信に1年で1.5兆円の資金流入があった(図表1)。その一方で国内株式投信、外国債券投信、外国株式投信からは資金流出し、特に国内株式投信からの資金流出は1兆円を超えた。また、国内REIT投信、外国REIT投信、国内債券投信には資金流入があったものの、1年間の流入額は2,000億円に満たなかった。そのため、2019年はバランス型投信への資金流入が顕著で、投資家の人気が高かったといえる。

このようにバランス型投信への資金流入が大きかった要因として、まず市場環境があげられるだろう。2019年は米中問題の深刻化や長期化が懸念され世界経済の先行きに対する不透明感が強く、年末にかけては内外株式への高値警戒感もあり、株式を敬遠する投資家が多かったものと思われる。実際に2019年は国内株式投信、外国株式投信ともに株価が上昇すると、利益確定のため株式投信を売却する投資家が多かった。そのような株式(投信)を敬遠もしくは売却した投資家の資金の一部がバランス型投信に流入したと考えられる。株式並みの価格変動になるようにレバレッジを活用したバランス型投信も2019年に投資家の人気を集めた。

また、確定拠出年金からのバランス型投信への資金流入も大きかった。一般販売されていない確定拠出年金専用のバランス型投信に2019年は3,300億円の資金流入があり、2018年の2,000億円の資金流入から増加した。2019年は秋ごろに、ある大手企業で確定給付年金から確定拠出年金に移行があり、それに伴いバランス型投信への資金流入が膨らんだ。さらに年金2,000万円不足問題から資産運用への関心が高まったことも追い風になったと思われる。新規にiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入した投資家や、これまで確定拠出年金で元本確保型の商品でしか運用してこなかった投資家の資金の一部がバランス型投信に流入した可能性もあるだろう。
図表1:2019年の日本籍追加型株式投信の資金流出入
図表2:バランス型投信と各資産の収益率
そもそもバランス型投信の魅力は、1本の投信で簡単に株や債券といった資産に分散投資することができる点があげられる。そのため、元本確保型の商品ではほとんど収益が得られない状況が続くことが見込まれる中、バランス型投信は投資初心者の受け皿になることが期待されている。実際に2018年春に法改正があったこともあり、元本確保型商品ではなくバランス型投信を初期設定(デフォルト)の運用商品にする確定拠出年金が増えている。そのことも確定拠出年金からバランス型投信への資金流入拡大に多少なりとも寄与していると思われる。

バランス型投信は、さまざまな資産を組み入れている分、株式投信などと比べて価格変動が相対的に小さいことが期待できる。2019年の収益率(横軸)をみると、2019年は1年を通じてほとんどの資産(赤丸)が上昇したこともあり、確定拠出年金で投資できるバランス型投信の収益率はすべてでプラスであった(図表2)。ただ、国内債券は上回ったものの、国内株式や外国株式と比べて劣後したバランス型投信がほとんどであった。2019年は株式、特に外国株式が大きく上昇したが、バランス型投信は株式だけでなく債券などの資産も組み入れているため、株式の上昇にはついていけないものが多かった。

その一方で米中問題の深刻化懸念などから世界的に株価が下落した2019年5月(縦軸)に限ってみると、バランス型投信は株式以外にも資産を分散していたため価格下落が抑制されていたことが分かる。多くのバランス型投信の2019年5月の収益率は株式と同様にマイナスでこそあったが、マイナス幅は国内株式や外国株式と比べて小さかった。まさに、株式よりも下落幅が小さかった債券や、場合によっては国内REITなどを組み入れていた効果といえよう。また、2019年通じて大きく上昇したバランス型投信ほど、5月の下落幅も大きかった。2019年は、価格変動の大きさと収益率との間でトレードオフの関係がバランス型投信でも成り立っていたことが分かる。

今後も2019年のようにバランス型投信の(基準)価格上昇が継続するかは、市場環境次第である。2019年5月のように株式が大きく下落すると、それに合わせてバランス型投信も下落する可能性が高い。やはりバランス型投信についても、短期の価格変動に一喜一憂せず長期保有することが重要だと思われる。
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金融研究部   准主任研究員

前山 裕亮 (まえやま ゆうすけ)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

(2020年03月04日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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