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逆風の中での通常国会スタート~タイトなスケジュールの中で審議が進むのか

総合政策研究部 専務理事 エグゼクティブ・フェロー・経済研究部 兼任 矢嶋 康次
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1――会期延長が難しい中、「15か月予算」と重要政策を十分審議できるのか?
今年の夏には東京都知事選や東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、会期延長は難しい。そのため、政府は新規提出法案を絞り込む見込みだ。ただ、安倍晋三首相は、「全世代型社会保障改革」を最重要課題として掲げており、パートなど短時間労働者への厚生年金の適用拡大を図る年金制度改革関連法案や、企業に70歳までの就労確保に努めることを求める高年齢者雇用安定法の改正案が提出される予定で、議論が高まることが必至の情勢だ。また、デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案など、他にも重要な法案は多い。
野党は、問題点が次々と浮上している「桜を見る会」の問題、衆院議員が逮捕されるに至った統合型リゾート(IR)をめぐる汚職事件、イラン問題が緊迫する中での自衛隊中東派遣の是非などについて、攻勢を強めるだろう。法案の内容以外でも、野党との激しい論戦が予想され、会期延長が難しいタイトなスケジュールの中で、中身のある十分な審議ができるのか、懸念が残る。
2――憶測を呼ぶ衆議院の解散時期や総裁4選の可能性
安倍首相の自民党総裁としての任期は21年9月、衆院議員の任期は21年10月である。衆議院解散について言えば、21年に入るといわゆる「追い込まれ解散」となって、与党に不利だとの見方があり、20年中の可能性が高いだろう。
この通常国会で早期に補正予算を成立させ、解散総選挙に向かうという選択肢も一時話題になった。しかしながら、もともとスケジュールがタイトである上に、IR疑惑で衆院議員が逮捕される事態となり、可能性は相当低くなったと言える。現時点では、秋の臨時国会のタイミングがメインシナリオ、との見方が強い。
12月に報道各社が発表した内閣支持率は、「桜を見る会」の問題で急落したが、1月分に発表されたいくつか調査を見ると、支持率は若干上昇、もしくは横ばいという結果になっているようだ。IR疑惑に対する政府与党への不信は高まっている。ただ、一方の野党は、立憲民主党と国民民主党の合流協議が難航しているなどと報じられており、内閣支持率の低下がそのまま野党支持に繋がっているとは言えない可能性もある。
まもなく始まる通常国会での論戦、さらには、夏の東京オリンピック・パラリンピックなどを通じて、内閣支持率がどう変化していくのか、解散総選挙の行方を占う上で大きく注目されるだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年01月16日「研究員の眼」)

03-3512-1837
- ・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員
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