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【12月米雇用統計】雇用者数は前月比+14.5万人と市場予想(+16.0万人)を下回る
経済研究部 主任研究員 窪谷 浩
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1.結果の概要:雇用者数の伸びは前月から鈍化、失業率は横ばい
失業率は3.5%(前月:3.5%、市場予想:3.5%)と前月から横ばいとなり、市場予想に一致した(後継図表6参照)。労働参加率2は63.2%(前月:63.2%)と、こちらも前月から横ばいとなった(後掲図表5参照)。
1 季節調整済の数値。以下、特に断りがない限り、季節調整済の数値を記載している。
2 労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に対する労働力人口(就業者数と失業者数を合計したもの)の比率。
2.結果の評価:賃金の伸びは抑制された状況が持続
また、家計調査も失業率がおよそ50年ぶりの水準を維持しており、労働需給がタイトであることを確認した。
3.事業所調査の詳細:製造業雇用が減少

一方、専門・ビジネスサービスが+1.0万人(前月:+5.3万人)となったほか、医療サービスも+2.8万人(+4.6万人)と前月から伸びが鈍化した。
財生産部門は前月比▲0.1万人(前月:+5.2万人)と小幅ながら前月からマイナスに転じた。建設業では+2.0万人(前月:+0.2万人)と前月から伸びが加速したものの、製造業が▲1.2万人(前月:+5.8万人)とGMストの解消に伴い大幅な増加となった前月の反動もあってマイナスに転じ、全体を押し下げた。
政府部門は、前月比+0.6万人(前月:+1.3万人)と前月から伸びが鈍化した。内訳をみると、連邦政府が横ばい(前月:▲0.2万人)と前月からマイナス幅が縮小したものの、州・地方政府が+0.6万人(前月:+1.5万人)と伸びが鈍化したことが大きい。
なお、BLSの公表に先立って1月8日に発表されたADP社の推計は、非農業部門(政府部門除く)の雇用増加数が前月比+20.2万人(前月改定値:+12.4万人、市場予想:+16.0万人)と、+6.7万人から大幅に上方修正された前月、市場予想を上回った。このため、雇用の伸びが鈍化した雇用統計とは不整合な結果となった。
12月の賃金・労働時間(全雇用者ベース)は、民間平均の時間当たり賃金が28.32ドル(前月:28.29ドル)となり、前月から+3セント増加した。週当たり労働時間は34.3時間(前月:34.3時間)とこちらは前月から横這いとなった。この結果、週当たり賃金は971.38ドル(前月:970.35ドル)と、前月から増加した(図表4)。
4.家計調査の詳細:労働参加率、失業率は前月から横ばい
これらの結果、労働参加率は63.2%と前月から横ばいとなった(図表5)。一方、プライムエイジと呼ばれる働き盛り(25~54歳)のみの労働参加率は12月が82.9%(前月:82.8%)とこちらは前月から+0.1%ポイント上昇した。男女の内訳は、男性が89.2%(前月:89.3%)と前月から▲0.1%ポイント低下したものの、女性が76.8%(前月:76.5%)と+0.3%ポイント上昇し、全体を押し上げた。
失業率は前月から横ばいと、50年ぶりの水準の低水準を維持しており、労働需給がタイトであることを確認した。なお、今回の発表に併せ、季節調整係数の見直しに伴い15年1月以降の家計調査数値が改訂されたが、19年の失業率は改訂前後で変更は無かった。
最後に、周辺労働力人口(124.6万人)3や、経済的理由によるパートタイマー(414.8万人)も考慮した広義の失業率(U-6)4をみると、12月は6.7%(前月:6.9%)と前月から▲0.2%ポイント低下した(図表8)。この結果、通常の失業率(U-3)と広義の失業率(U-6)の差は3.2%ポイント(前月:3.4%ポイント)と、前月から▲0.2%ポイント縮小した。
3 周辺労働力とは、職に就いておらず、過去4週間では求職活動もしていないが、過去12カ月の間には求職活動をしたことがあり、働くことが可能で、また、働きたいと考えている者。
4 U-6は、失業者に周辺労働力と経済的理由によりパートタイムで働いている者を加えたものを労働力人口と周辺労働力人口の和で除したもの。つまり、U-6=(失業者+周辺労働力人口+経済的理由によるパートタイマー)/(労働力人口+周辺労働力人口)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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(2020年01月14日「経済・金融フラッシュ」)
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