- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 経済予測はどのくらいはずれるのか(2)~民間調査機関の予測精度と特徴~
2019年12月25日
■要旨
民間調査機関による実質GDP成長率の予測値と実績値の誤差は、1980~2018年度の39年間の平均で▲0.19%(実績値-予測値)、予測誤差の絶対値を平均した平均絶対誤差は1.25%であった。政府経済見通しよりも精度は高いが、実績値が全調査機関の予測レンジ(最大値-最小値)から外れる確率は約50%である。横並びの傾向があるため、予測が外れた場合に全機関の予測が一斉に外れてしまうことも少なくない。
実質GDP成長率の予測誤差を需要項目別に見ると、民間需要(民間消費、住宅投資、設備投資)が過大予測、公的需要(政府消費、公的固定資本形成)、純輸出(輸出-輸入)が過小推計という特徴がある。これは政府経済見通しと同じ傾向だが、それぞれの誤差が政府よりも小さい。
実質GDP成長率の予測値は、景気拡張期には上振れ、景気後退期には下振れる傾向がある。民間調査機関による景気の転換点の判断は遅れるが、成長率見通しの修正方向が転換した時期と景気の転換点は近いことが多い。景気の転換点を判断するには、景気の転換点の判断そのものよりも成長率見通しの修正方向の情報のほうが有益である。
日本銀行の展望レポートにおける実質GDP成長率と消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)の予測は、いずれも過大予測(実績<予測)の傾向がある。日本銀行と民間調査機関で予測誤差の小さい方を勝ちとして各年度の勝敗をカウントすると、2004~2018年度の15年間で、実質GDPが民間の9勝6敗、消費者物価が民間の10勝5敗となった。民間調査機関の予測は、政府、日本銀行と比べて相対的に優秀な予測といえる。
■目次
1――民間調査機関の予測精度
2――年代別、需要項目別の予測誤差
3――遅れる景気の転換点の判断
4――予測値の修正方向から景気の転換点を探る
5――日本銀行の予測との比較
民間調査機関による実質GDP成長率の予測値と実績値の誤差は、1980~2018年度の39年間の平均で▲0.19%(実績値-予測値)、予測誤差の絶対値を平均した平均絶対誤差は1.25%であった。政府経済見通しよりも精度は高いが、実績値が全調査機関の予測レンジ(最大値-最小値)から外れる確率は約50%である。横並びの傾向があるため、予測が外れた場合に全機関の予測が一斉に外れてしまうことも少なくない。
実質GDP成長率の予測誤差を需要項目別に見ると、民間需要(民間消費、住宅投資、設備投資)が過大予測、公的需要(政府消費、公的固定資本形成)、純輸出(輸出-輸入)が過小推計という特徴がある。これは政府経済見通しと同じ傾向だが、それぞれの誤差が政府よりも小さい。
実質GDP成長率の予測値は、景気拡張期には上振れ、景気後退期には下振れる傾向がある。民間調査機関による景気の転換点の判断は遅れるが、成長率見通しの修正方向が転換した時期と景気の転換点は近いことが多い。景気の転換点を判断するには、景気の転換点の判断そのものよりも成長率見通しの修正方向の情報のほうが有益である。
日本銀行の展望レポートにおける実質GDP成長率と消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)の予測は、いずれも過大予測(実績<予測)の傾向がある。日本銀行と民間調査機関で予測誤差の小さい方を勝ちとして各年度の勝敗をカウントすると、2004~2018年度の15年間で、実質GDPが民間の9勝6敗、消費者物価が民間の10勝5敗となった。民間調査機関の予測は、政府、日本銀行と比べて相対的に優秀な予測といえる。
■目次
1――民間調査機関の予測精度
2――年代別、需要項目別の予測誤差
3――遅れる景気の転換点の判断
4――予測値の修正方向から景気の転換点を探る
5――日本銀行の予測との比較
(2019年12月25日「基礎研レター」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/07/19 | 消費者物価(全国24年6月)-政策変更に左右される物価上昇率 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2024/07/18 | 貿易統計24年6月-4-6月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスに | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2024/07/12 | 建設・物流の「2024年問題」で労働時間はどのくらい減るのか | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2024/07/08 | リベンジ消費はなぜ不発なのか-過剰貯蓄による押し上げ効果はすでに消滅 | 斎藤 太郎 | ニッセイ基礎研所報 |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年07月26日
職場における温度、匂い、音等は、どういう人がシンドイと思っているのか -
2024年07月26日
米GDP(24年4-6月期)-前期比年率+2.8%と前期から大幅上昇、市場予想の+2.0%も大幅に上回る -
2024年07月26日
お金の流れでみる日本経済 -
2024年07月25日
消えた580兆円~住宅投資をしても残高の増加は限定的~日本の住宅投資はなぜ「資産化」しないのか~ -
2024年07月24日
中国経済の現状と注目点-好調は持続せず、不動産不況と貿易摩擦で弱り目に祟り目の中国経済
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【経済予測はどのくらいはずれるのか(2)~民間調査機関の予測精度と特徴~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
経済予測はどのくらいはずれるのか(2)~民間調査機関の予測精度と特徴~のレポート Topへ