2020年01月28日

経済予測はどのくらいはずれるのか(3)~四半期別GDP速報の予測精度(個別機関vsコンセンサス予測)~

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■要旨

四半期別GDP速報(1次速報)における実質GDP成長率(前期比年率)の予測誤差(民間調査機関の平均、コンセンサス)は、2000年1-3月期から2019年7-9月期(79四半期)の平均で0.99%(絶対誤差)である。実績値が予測値から±0.5%以内におさまる確率は3割弱で、1割弱は予測誤差が±2%を上回っている。
 
需要項目別には、公的固定資本形成、設備投資、住宅投資の予測誤差が大きいが、実質GDP成長率への寄与度でみると、大きい順に民間消費、設備投資、民間在庫変動となる。
 
日本のGDP速報の予測誤差は米国(平均絶対誤差は0.54%)の2倍近いが、その原因として、日本のGDP統計の振れが大きいことや推計方法の開示が不十分であることなどが挙げられる。
 
個別機関の予測精度を確認したところ、需要項目別にはコンセンサスよりも予測精度が高い機関が存在したが、実質GDP成長率については約20年間の平均でコンセンサス予測よりも良いパフォーマンスをあげている機関がひとつもなかった。

■目次

1――GDP速報の予測精度
2――需要項目別の予測誤差
3――GDP速報予測の日米比較
4――コンセンサス予測が優秀となる理由
5――個別機関の予測誤差
6――まとめ

(2020年01月28日「基礎研レター」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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