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- 日本株、高値圏を維持できるか~中間決算のハードルが上がった可能性~
2019年10月28日
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1――10月も続伸した日本株式
日本株式は10月に入って調整する局面もあったが、再び上昇した。TOPIX(東証株価指数:紺線)は9月下旬に1,600ポイントを回復していた。しかし、10月上旬に米国で経済指標が弱含み景気減速懸念が広がったことが嫌気され、再び1,600ポイントを下回った【図表1】。それでも10日、11日の米中閣僚級通商協議を前に協議の進展期待などが広がったことから上昇に転じ、実際に米中閣僚級通商協議で両国が部分合意に達した15日には1,600ポイントを超えた。その後も米企業の好決算などから米国株式が上昇したことなども追い風となり堅調に推移し、TOPIXは4月につけた年初来高値を連日、更新する展開となった。足元でTOPIXは1,650ポイントまで切り上がっている。
2――続伸の背景には、企業業績の底打ち期待も
日本株式は、9月にTOPIXが5%上昇するなど大きく上昇し、割安感がある程度、消失したと考えられたにもかかわらず、10月も続伸した。10月は月を通じて米中問題に対する楽観視が続いたことや為替市場で1ドル108円台後半まで円安が進行し、定着したことなどもあるが、それに加えて企業業績の底打ち期待もあるだろう。
TOPIXの予想PER(青線)を確認すると、9月末には13倍程度であったが、足元の株価上昇に伴って13.4倍まで切り上がっている【図表2】。昨年10月の急落以降では最も高い水準であり、予想EPS(赤線)が低下基調時(ハイライト部分)の予想PERのレンジは12倍から13倍であるが、足元、このレンジを上回っている。このレンジはあくまでも経験則であるが、現在のTOPIXは企業業績(予想EPS)が底打ちして来なければ、維持しづらい水準にあると見ることができる。
TOPIXの予想PER(青線)を確認すると、9月末には13倍程度であったが、足元の株価上昇に伴って13.4倍まで切り上がっている【図表2】。昨年10月の急落以降では最も高い水準であり、予想EPS(赤線)が低下基調時(ハイライト部分)の予想PERのレンジは12倍から13倍であるが、足元、このレンジを上回っている。このレンジはあくまでも経験則であるが、現在のTOPIXは企業業績(予想EPS)が底打ちして来なければ、維持しづらい水準にあると見ることができる。
3――高値圏を維持する条件は
日本株式がこのまま高値圏を維持するには、米中問題がこのまま小康状態が続くことに加えて、企業業績が実際に底打ちしてくることも必要となっているのではないだろうか。これから中間決算の発表がピークを迎える。足元の実績が悪いことは株式市場で折込済みであるが、下期もしくは来期に向けて明るい兆しがみられれば、これまで半信半疑で買い控えている投資家が戻ってきて、一段高となるかもしれない。しかし、決算発表で業績の底入れはまだまだ先という印象を多くの投資家が持つと、株価は一旦調整し、TOPIXの予想PERが再び13倍を下回る展開となる可能性もある。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
(2019年10月28日「基礎研レター」)

03-3512-1785
経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
前山 裕亮のレポート
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