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オープン・ソース型モデルの浸透-どのようにモデル統治を進めるべきか?

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
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-プログラミング : 一定のプログラミング基準にしたがって行われる
-ピア・レビュー : 変更内容に基づいて、適度な厳格さが求められる
-分析 : 変更内容の複雑さに応じて、適度な厳格さが求められる
-確認 : 測定方法に基づいて、認容性の水準が定められる
-文書化 : 目的に応じて厳格さの水準が定められる
(2) 任務の分離
関係者は、1つの役割だけをこなすべきである。これは、他の役割を担う際に生じる基準の希薄化や役割の間の衝突を避けるためだ。各関係者の役割と責任は、慎重かつ明確に定められる必要がある。それらは、正式に文書化されて、いつでも遵守されることが必要となる。
(3) 情報技術(IT)の活用
ITは、モデル統治成功のカギとなる。つぎの事項の確認のためにIT部門との連携が必要となる。
-すべての人が、ファイルフォルダ(ディレクトリ)とネットワークに正しいアクセス権や制限を有している
-ソフトウェアのライセンスの更新とアップデートが、スムーズに時間通りに行われる
-モデルの枠組みやソフトウェアに対して、専従のIT専門職がいる
-災害時の復旧とバックアップの過程が、あらかじめ設定されている
-監査に対して、常にITの過程管理が機能している
4――モデル統治の効果
-モデル開発者は、管理された環境下でモデル変更の作業が進められることの満足感を持つ。自分の役割を効率よく果たすために、MGFを維持することを学び、その結果、興奮や満足感を得ることができる。
-モデル管理者は、継続的に保険計理や法定実務の進歩とともに管理や過程を改善する。役割が明確に決められていることで、より効果的に、モデル統治の枠組みに関与しながら職務を遂行することができる。
-組織は、モデルリスクが大きく軽減される。それは、モデルに対する上級管理職の信頼感を高め、併せて、モデル関係者間のモデル保持に対するプライドを高める。また、MGFによるリスクの軽減は、オープン・ソース型とクローズド・ソース型のシステムの間の多くの反対意見を取り除く。組織は、両者それぞれの性能を互角に評価したり、費用対効果を比較したりすることができる。
なお、MGFの企画や実行は、組織ごとに異なる。MGFは、既存の枠組み、カルチャー、組織の特性に応じて、企画されるべきである。もし上級管理職がモデル統治を切望して、これにうまく関与すれば、組織に費用対効果の改善というメリットがもたらされるだろう。
5――おわりに (私見)
保険会社のモデル統治の考え方や、MGFの構築は、まだ緒についたばかりといえる。今後、保険業界でモデルの構築がどのように変化していくのか、またMGFがどのように組み立てられていくのか、興味深い。引き続き、その動向に注目していくこととしたい。
(2019年10月08日「保険・年金フォーカス」)
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保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
篠原 拓也のレポート
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