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- 気になる訪日外国人客数の伸び悩み-訪日主要国の需要が一巡した可能性はないか
2019年09月24日
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■要旨
訪日外国人客(訪日客)を対象とする観光業はこれからも持続的成長が期待される分野の1つである。しかし、最近の訪日客数全体の伸び率には減速傾向が見られる。これまで増加を牽引してきた国において訪日需要が一巡してしまっている可能性はないだろうか。
2018年の訪日客数を国別にみると、中国が全体を上回る伸びを示す一方で、韓国・台湾・香港の落ち込みが目立つ。また中国は、初めて日本を訪れる「初回訪日客」が依然として半数以上を占めているのに対し、韓国、台湾、香港はこれまでに日本を訪れた経験を持ち日本をよく知る「リピーター」が中心となっていることが分かる。
さらに、初回訪日客の累計数を対人口比で比較すると、中国が2%であるのに対して、韓国は29%、台湾は35%、香港は37%と、一度でも日本を訪れたことのある人が既に総人口の3~4割を占めており、訪日経験者の割合が他の国より著しく高くなっている。この3カ国からの訪日客の回復には「リピーター」の取り込みに向けた一層の訴求が求められそうだ。
一方、それ以外の国に目を向けてみると、訪日外国人客数は着実に増加している。訪日外国人客数上位5-15位の国籍・地域における増加率は、アメリカ、ベトナム、イギリス、カナダなどの国が大きく、初回訪日客の累計数の人口割合も低く、今後は牽引役候補となる可能性もありそうだ。
足元では日韓関係の冷え込みがインバウンド需要の先行きに影を落としている。しかし、これまでも観光業は対外的な政治問題や災害による影響を受け続けてきた産業で、官民一体となった取り組みによって、訪日外国人客数は増加してきた。今後とも需要層のニーズをきめ細かく汲み取ることで、さらなる増加に向けた努力が求められる。
■目次
1――はじめに
2――2018年までの訪日外国人客数の動向
3――アジア4カ国における訪日外国人客数の動向
4――アジア4カ国の初回訪日客数が全体に占める割合
5――アジア4カ国の初回訪日客数の人口比
6――上位5-15位の国籍・地域の初回訪日客数の人口比
7――おわりに
訪日外国人客(訪日客)を対象とする観光業はこれからも持続的成長が期待される分野の1つである。しかし、最近の訪日客数全体の伸び率には減速傾向が見られる。これまで増加を牽引してきた国において訪日需要が一巡してしまっている可能性はないだろうか。
2018年の訪日客数を国別にみると、中国が全体を上回る伸びを示す一方で、韓国・台湾・香港の落ち込みが目立つ。また中国は、初めて日本を訪れる「初回訪日客」が依然として半数以上を占めているのに対し、韓国、台湾、香港はこれまでに日本を訪れた経験を持ち日本をよく知る「リピーター」が中心となっていることが分かる。
さらに、初回訪日客の累計数を対人口比で比較すると、中国が2%であるのに対して、韓国は29%、台湾は35%、香港は37%と、一度でも日本を訪れたことのある人が既に総人口の3~4割を占めており、訪日経験者の割合が他の国より著しく高くなっている。この3カ国からの訪日客の回復には「リピーター」の取り込みに向けた一層の訴求が求められそうだ。
一方、それ以外の国に目を向けてみると、訪日外国人客数は着実に増加している。訪日外国人客数上位5-15位の国籍・地域における増加率は、アメリカ、ベトナム、イギリス、カナダなどの国が大きく、初回訪日客の累計数の人口割合も低く、今後は牽引役候補となる可能性もありそうだ。
足元では日韓関係の冷え込みがインバウンド需要の先行きに影を落としている。しかし、これまでも観光業は対外的な政治問題や災害による影響を受け続けてきた産業で、官民一体となった取り組みによって、訪日外国人客数は増加してきた。今後とも需要層のニーズをきめ細かく汲み取ることで、さらなる増加に向けた努力が求められる。
■目次
1――はじめに
2――2018年までの訪日外国人客数の動向
3――アジア4カ国における訪日外国人客数の動向
4――アジア4カ国の初回訪日客数が全体に占める割合
5――アジア4カ国の初回訪日客数の人口比
6――上位5-15位の国籍・地域の初回訪日客数の人口比
7――おわりに
(2019年09月24日「基礎研レター」)
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03-3512-1853
経歴
- 【職歴】
2000年 東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行
2006年 総合不動産会社に入社
2018年5月より現職
・不動産鑑定士
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
・2022年、2023年 兵庫県都市計画審議会専門委員
渡邊 布味子のレポート
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