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中国経済の現状と今後の注目点-景気回復は本物なのか、そして今後のシナリオは?

三尾 幸吉郎
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- 中国経済に明るい兆しが見えてきた。19年1-3月期の経済成長率は実質で前年比6.4%増と前四半期と同率に留まり1年ぶりに減速が止まった(下左図)。但し、3月の製造業PMIが4ヵ月ぶりに50%を上回った背景には春節連休の影響があり、例年3月は1-2月期を大きく上回ることが多く4月には反動減が予想される。また、集積回路(IC)の生産量を見ても、3月は1-2月平均を大きく上回ったが、前年同月を下回っておりトレンドはまだ下向きである。
- 個人消費の代表的な指標である小売売上高の動きを見ると、19年1-3月期は前年比8.3%増と、18年10-12月期の同8.1%増を小幅に上回った。家具や家電などは不調だったが、化粧品や日用品などが好調だった。また、自動車販売は引き続き前年割れだったものの、株価上昇で逆資産効果が薄れ、消費者信頼感指数も下げ止まったため、持ち直しそうだ。
- 一方、投資の代表的な指標である固定資産投資の動きを見ると、19年1-3月期は前年比6.3%増と、18年10-12月期の同7.4%増(推定)を1.1ポイント下回った。不動産開発投資は前四半期を上回ったものの、製造業とインフラ投資が前四半期を下回った。中国政府が打ち出した景気対策の効果でインフラ投資は持ち直しそうだが、製造業の投資は米中貿易摩擦の影響が現出したものと見られるため、直ぐに持ち直すとは考えにくい。
- 今後のシナリオを描いて見ると(メイン・シナリオ)、19年上半期に関してはプラス・マイナス両材料の影響が拮抗し経済成長率は横ばいと見ているが、19年下半期に関してはマイナス材料がプラス材料を上回り、経済成長率は緩やかに低下すると予想している。また、このシナリオには予断を許さぬ米中対立というリスク要因があり、その行方次第ではITサイクルや株価に影響が及ぶため、上振れと下振れのシナリオも想定しておく必要がある(下右図)。
(2019年04月26日「Weekly エコノミスト・レター」)
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