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大阪オフィス市場の現況と見通し(2019年)
金融研究部 主任研究員 吉田 資
2018年末時点で最も賃貸可能面積が集積しているエリアは、「梅田地区(34.5%)」で、次いで「淀屋橋・本町地区(30.8%)」、「船場地区(15.0%)」、「新大阪地区(9.7%)」、「心斎橋・難波地区(5.1%)」、「南森町地区(5.0%)」の順となっている(図表9)。
2018年は「なんばSkyO(なんばスカイオ)」の竣工により、「心斎橋・難波地区」で賃貸可能面積が1.0坪増加した。一方、滅失等により「淀屋橋・本町地区」(▲0.4万坪)や「梅田地区」(▲0.2万坪)、「南森地区」(▲0.1万坪)では減少した(図表10)。
賃貸面積は、「心斎橋・難波地区」(+1.0万坪)や「淀屋橋・本町地区」(+0.7万坪)、「船場地区」(+0.5万坪)で増加した。この結果、空室面積は、「淀屋橋・本町地区」(▲1.1万坪)や「船場地区」(▲0.5万坪)をはじめとして、「心斎橋・難波地区」を除く全ての地区で減少した。
また、募集賃料をエリア別にみると、「梅田地区」・「淀屋橋・本町地区」・「船場地区」の賃料は2017年初から上昇基調に転じている。2018年に入り、その他の地区でも(「南森町地区」・「新大阪地区」・「心斎橋・難波地区」)賃料は上昇に転じ、すべての地区で賃料は上昇局面に入った(図表11右図)。
3. 大阪オフィス市場の見通し
以上の状況を鑑みると、今後5年間で大阪市のオフィスワーカー数が大幅に減少する懸念は小さく、引き続き、大阪のオフィス需要は底堅いと見込む。
5 転入超過数=転入人口-転出人口
大阪のオフィスビル新規供給量は、「グランフロント大阪」や「ダイビル本館」等が竣工し、高水準となった2013年(約6.0万坪)以降、限定的な状況が続いている。2018年の新規供給量は約1.5万坪となり、「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」等が竣工した2017年の新規供給量(約2.5万坪)を下回った(図表15)。
今後3年間の大規模ビルの新規供給(2019年~2021年)も、「オービック御堂筋ビル」や「新サンケイビル建替プロジェクト」等に限定されており、大阪市では低水準の新規供給状況が続くと見込まれる。
大阪の過去5年間の新規供給面積が総ストックに占める割合は、2.6%であった。主要都市と比較すると、仙台市(1.1%)と福岡市(2.5%)に次いで小さい(図表-8)。過去10年間でみても新規供給面積の割合も約1割に留まっており、築浅オフィスビルの希少性が高い状況が続くと思われる(図表16)。
ただし、2022年以降、「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」(大阪神ビルディングと新阪急ビルの一体建替)や「梅田3丁目計画」(大阪中央郵便局と大弘ビル跡地)、「うめきた2期」等、梅田駅周辺で複数の大規模開発が計画されている。新規供給量は大きく増加すると見込まれ、需給バランスを注視する必要があるだろう。
前述の新規供給見通しや経済予測6、生産年齢人口の見通しを前提に、2023年までの大阪のオフィス賃料を予測した(図表17)。
大阪の空室率は、2021年まで新規供給が限定的なこともあり、当面の間、極めて低い水準を維持すると見込まれる。2022年以降は、梅田駅周辺で複数の大規模開発が計画されていることから、空室率は上昇するが、底堅い需要に支えられ大幅な上昇には至らないと思われる。
大阪のオフィス賃料は、逼迫した需給状況を反映し、当面の間、上昇が続くと予想される。2018年の賃料を100とした場合、2019年の賃料は104、2020年は108と堅調に上昇する見通しだ。
2021年以降は、東京五輪開催後の経済の落ち込みや梅田駅周辺の大規模開発を控えて空室率が上昇する影響を受け、賃料の伸びは鈍化すると見込む。成約賃料は2021年から2023年にかけてほぼ横ばい圏で推移すると予想する。
6 経済見通しは、ニッセイ基礎研究所経済研究部「中期経済見通し(2018~2028年度)」ニッセイ基礎研究所、Weeklyエコノミスト・レター、2018年10月12日、斎藤太郎「2018~2020年度経済見通し-17年7-9月期GDP2次速報後改定」ニッセイ基礎研究所、Weeklyエコノミスト・レター、2018年12月10日などを基に設定。
(ご注意)本稿記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本稿は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもありません。
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(2019年03月08日「不動産投資レポート」)
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