- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 鉱工業生産19年1月-戦後最長景気は確定せず
2019年02月28日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.生産は3ヵ月連続で低下し、市場予想を大きく下回る

1月の生産を業種別に見ると、アジア向けを中心に半導体製造装置、半導体電子部品の輸出が大きく落ち込んでいることを反映し、生産用機械(前月比▲9.8%)、電子部品・デバイス(同▲8.4%)が急低下したほか、供給制約の緩和によって18年末にかけて持ち直していた自動車工業(同▲8.6%)も大幅減産となった。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は18年10-12月期の前期比2.0%の後、19年1月は前月比▲8.0%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は18年10-12月期の前期比2.8%の後、19年1月は前月比▲1.9%となった。

消費財出荷指数は18年10-12月期の前期比▲0.8%の後、19年1月は前月比0.5%となった。耐久消費財が前月比▲6.7%(10-12月期:同4.5%)と大きく落ち込んだが、非耐久消費財が前月比4.0%(10-12月期:同▲3.7%)の高い伸びとなった。
18年10-12月期のGDP統計の民間消費は前期比0.6%と2四半期ぶりの増加となったが、1月の消費関連指標は、本日公表された商業動態統計の小売業販売額をはじめとして弱めのものが多い。雇用所得環境は改善を続けているものの、消費者マインドの弱さが消費の下押し要因となっている。1-3月期の民間消費は前期比でほぼ横ばいにとどまることが見込まれる。
2.戦後最長景気は確定せず
製造工業生産予測指数は、19年2月が前月比5.0%、3月が同▲1.6%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(1月)、予測修正率(2月)はそれぞれ▲4.5%、▲2.3%であった。1月の実現率のマイナス幅は、豪雨、台風、地震などの影響で生産計画が大幅に下振れした18年7~9月を上回る大きさとなった。
茂木経済財政政策担当大臣は、1月の月例経済報告後の記者会見で「今回の景気回復期間が19年1月で戦後最長になったとみられる」と表明したが、鉱工業生産などの19年1月の経済指標の結果を見る限り、戦後最長の更新は持ち越しとなった。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2019年02月28日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/06/09 | 2025・2026年度経済見通し-25年1-3月期GDP2次速報後改定 | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/06/06 | 高水準の賃上げをもたらしたのは人手不足か、物価高か | 斎藤 太郎 | 基礎研マンスリー |
2025/06/02 | 法人企業統計25年1-3月期-利益、設備ともに堅調だが、4-6月期以降はトランプ関税の影響で悪化が不可避 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/05/30 | 鉱工業生産25年4月-5月の予測指数の高い伸びは季節調整の歪みによって嵩上げされている可能性 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年06月16日
マスク着用のメンタルヘルスへの影響(1)-コロナ禍の研究を経て分かっていること/いないこと -
2025年06月13日
DeepSeekに見るAIの未来-近年のAI進化の背景とは -
2025年06月13日
年齢制限をすり抜ける小学生たち-α世代のSNS利用のリアル -
2025年06月13日
インド消費者物価(25年5月)~5月のCPI上昇率は+2.8%、食品価格の低下が続いて6年ぶりの低水準に -
2025年06月13日
欧州保険会社が2024年のSFCR(ソルベンシー財務状況報告書)を公表(2)-SCRの算出(内部モデルの使用状況と分散効果の状況等)-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
【鉱工業生産19年1月-戦後最長景気は確定せず】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
鉱工業生産19年1月-戦後最長景気は確定せずのレポート Topへ