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- 貿易統計19年1月-輸出の停滞色が強まり、失速のリスクも高まる
2019年02月20日
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1.貿易収支(季節調整値)は7ヵ月連続の赤字
財務省が2月20日に公表した貿易統計によると、19年1月の貿易収支は▲14,152億円と4ヵ月連続の赤字となり、事前の市場予想(QUICK集計:▲10,109億円、当社予想は▲8,916億円)を大きく下回る結果となった。輸入が前年比▲0.6%(12月:同1.9%)と10ヵ月ぶりに減少したが、輸出が前年比▲8.4%(12月:同▲3.9%)と前月から減少幅が拡大したため、貿易収支は前年に比べ▲4,670億円の悪化となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲9.1%(12月:同▲5.8%)、輸出価格が前年比0.7%(12月:同2.1%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比0.5%(12月:同▲2.2%)、輸入価格が前年比▲1.2%(12月:同4.1%)であった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲9.1%(12月:同▲5.8%)、輸出価格が前年比0.7%(12月:同2.1%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比0.5%(12月:同▲2.2%)、輸入価格が前年比▲1.2%(12月:同4.1%)であった。
原数値の貿易収支が大幅な赤字となったのは、1月が正月休みの影響で輸出量が少なく貿易赤字になりやすいという季節性による部分もあるが、季節調整済の貿易収支は▲3,700億円と7ヵ月連続の赤字となり、赤字幅は12月の▲2,215億円から拡大した。貿易収支は基調とした悪化している。輸出入ともに前月比で減少したが、原油価格の大幅下落を主因として輸入は前月比▲4.2%の減少となったが、輸出の減少幅(前月比▲6.6%)がそれを上回ったことが貿易赤字の拡大につながった。
2.停滞色を強める輸出
19年1月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比10.2%(12月:同4.0%)、EU向けが前年比▲1.5%(12月:同5.7%)、アジア向けが前年比▲14.4%(12月:同▲10.3%)となった。
季節調整値(当研究所による試算値)では、米国向けが前月比4.8%(12月:同▲0.2%)、EU向けが前月比▲3.1%(12月:同0.3%)、アジア向けが前月比▲1.9%(12月:同▲5.1%)、全体では前月比▲4.8%(12月:同▲0.6%)となった。
米国向けは自動車が大幅に増加したことから高めの伸びとなったが、EU向け、アジア向けが大きく低下した。1月の落ち込みはEU向けが大きかったが、実勢としては中国をはじめとしたアジア向けが特に弱い。アジア向けの輸出数量指数(季節調整値)は直近3ヵ月で10%近く低下した。ただし、1、2月は中華圏の春節の影響で数字が振れやすいため、アジア向けの輸出は2月に大きくリバウンドする可能性もある。基調を見極めるためには1、2月分を均してみる必要があるだろう。
季節調整値(当研究所による試算値)では、米国向けが前月比4.8%(12月:同▲0.2%)、EU向けが前月比▲3.1%(12月:同0.3%)、アジア向けが前月比▲1.9%(12月:同▲5.1%)、全体では前月比▲4.8%(12月:同▲0.6%)となった。
米国向けは自動車が大幅に増加したことから高めの伸びとなったが、EU向け、アジア向けが大きく低下した。1月の落ち込みはEU向けが大きかったが、実勢としては中国をはじめとしたアジア向けが特に弱い。アジア向けの輸出数量指数(季節調整値)は直近3ヵ月で10%近く低下した。ただし、1、2月は中華圏の春節の影響で数字が振れやすいため、アジア向けの輸出は2月に大きくリバウンドする可能性もある。基調を見極めるためには1、2月分を均してみる必要があるだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2019年02月20日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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