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- 鉱工業生産18年12月-2四半期ぶりの増産も、実態は横ばい圏
2019年01月31日
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1.10-12月は供給制約の解消に伴い2四半期ぶりの増産
経済産業省が1月31日に公表した鉱工業指数によると、18年12月の鉱工業生産指数は前月比▲0.1%(11月:同▲1.0%)と2ヵ月連続で低下し、ほぼ事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲0.3%、当社予想は同▲0.8%)通りの結果となった。出荷指数は前月比0.3%と2ヵ月ぶりの上昇、在庫指数は前月比1.0%と2ヵ月連続で上昇した。
12月の生産を業種別に見ると、汎用・業務用機械(前月比4.5%)、自動車工業(同1.2%)は上昇したが、インバウンド需要の好調を受けて増加が続いていた化学(除く無機・有機化学・医薬品)が前月比▲4.0%、在庫の高止まりが続く電子部品・デバイスが同▲2.6%と大きく落ち込んだことから、全体では小幅ながら2ヵ月連続で低下した。
18年10-12月期の生産は前期比1.9%(7-9月期:同▲1.3%)と2四半期ぶりに上昇した。供給制約の解消と挽回生産で10月に前月比2.9%の高い伸びとなった貯金が効いた形で四半期ベースでは高めの伸びとなったが、11月、12月と水準を低下させており、生産の基調は強くない。業種別には、自然災害の影響で7-9月期に前期比▲4.2%と大きく落ち込んだ輸送機械が同5.1%の高い伸びとなり、10-12月期の生産を前期比1%近く押し上げた。
12月の生産を業種別に見ると、汎用・業務用機械(前月比4.5%)、自動車工業(同1.2%)は上昇したが、インバウンド需要の好調を受けて増加が続いていた化学(除く無機・有機化学・医薬品)が前月比▲4.0%、在庫の高止まりが続く電子部品・デバイスが同▲2.6%と大きく落ち込んだことから、全体では小幅ながら2ヵ月連続で低下した。
18年10-12月期の生産は前期比1.9%(7-9月期:同▲1.3%)と2四半期ぶりに上昇した。供給制約の解消と挽回生産で10月に前月比2.9%の高い伸びとなった貯金が効いた形で四半期ベースでは高めの伸びとなったが、11月、12月と水準を低下させており、生産の基調は強くない。業種別には、自然災害の影響で7-9月期に前期比▲4.2%と大きく落ち込んだ輸送機械が同5.1%の高い伸びとなり、10-12月期の生産を前期比1%近く押し上げた。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は18年7-9月期の前期比▲1.5%の後、10-12月期は同2.0%と2四半期ぶりの上昇となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は18年7-9月期の前期比▲1.4%の後、10-12月期は同2.8%と2四半期ぶりの上昇となった。
18年7-9月期のGDP統計の設備投資は前期比▲2.8%と8四半期ぶりの減少となったが、自然災害による供給制約の影響を受けており、企業収益の好調を背景とした設備投資の回復基調は維持されていると考えられる。10-12月期の設備投資は増加に転じる可能性が高いだろう。
消費財出荷指数は18年7-9月期の前期比▲1.6%の後、10-12月期は同▲0.5%と2四半期連続で低下した。耐久消費財は前期比4.5%(7-9月期:同▲5.8%)と2四半期ぶりに上昇したが、非耐久消費財が前期比▲3.1%(7-9月期:同1.3%)と3四半期ぶりに低下した。
18年7-9月期のGDP統計の設備投資は前期比▲2.8%と8四半期ぶりの減少となったが、自然災害による供給制約の影響を受けており、企業収益の好調を背景とした設備投資の回復基調は維持されていると考えられる。10-12月期の設備投資は増加に転じる可能性が高いだろう。
消費財出荷指数は18年7-9月期の前期比▲1.6%の後、10-12月期は同▲0.5%と2四半期連続で低下した。耐久消費財は前期比4.5%(7-9月期:同▲5.8%)と2四半期ぶりに上昇したが、非耐久消費財が前期比▲3.1%(7-9月期:同1.3%)と3四半期ぶりに低下した。
2.生産は横ばい圏の推移が続く公算

製造工業生産予測指数は、19年1月が前月比▲0.1%、2月が同2.6%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(12月)、予測修正率(1月)はそれぞれ▲3.1%、▲2.4%であった。
18年12月の生産指数を19年1、2月の予測指数で先延ばし(3月は横ばいと仮定)すると、19年1-3月期は前期比1.2%となる。19年1月は3ヵ月連続の減産となる可能性が高く、実際の生産が計画を下回る傾向が続いていることを割り引くと、19年1-3月期が2四半期連続の増産となるかは現時点では不透明である。
10-12月期の生産は高めの伸びとなったが、7-9月期の反動によるところが大きく、実勢としては横ばい圏の推移が続いている。海外経済の減速に伴う輸出の低迷を背景に、鉱工業生産は年明け以降も足踏み状態が続く可能性が高い。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2019年01月31日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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