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2018年末に生じた長期金利の低下要因について-フォワードガイダンス導入時の政策変更に関する効果測定
金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター兼任 福本 勇樹
1――フォワードガイダンス導入時の政策変更を考慮に入れた日本国債金利(10年物)の分析
本稿では、YCC導入時に日本銀行により公開された線形回帰モデル1を参考にして、物価安定の目標、YCCとフォワードガイダンスの政策効果を考慮に入れた金利モデルの構築を行い、各金融政策の効果測定を試みた。2007年11月から2019年1月までの月末データを用いて、日本国債金利(10年物)について重回帰分析を行うと以下のようになった。










注)補正R2は0.981、***は1%有意、**は5%有意、*は10%有意であることを示す
第3項は、日本のマクロ経済に関する代表的な指標として実質GDP成長率予想(

第4項は物価安定の目標の導入効果を示すものである。2013年1月以降の物価目標である2%と期待インフレ率(

第5項と第6項は、日本銀行による国債買入が日本国債金利(10年物)に与える影響を見ることを目的としている。日本銀行の全体に占める国債保有割合(

第7項と第8項と第9項は、2016年1月末以降のマイナス金利政策の導入の効果を見るためのものであり、マイナス金利政策時に日本国債金利(10年物)が0.175%下方シフトし、YCCの導入時に0.354%上方シフトし、フォワードガイダンス導入時に0.105%上方シフトしたことを意味している。ただし、YCC導入時とフォワードガイダンス導入時のシフト幅について有意でない点には注意が必要である。
1 「「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果についての総括的な検証【背景説明】」(P.48)のモデルで、本稿の記法を用いると、次式のようになる。日本銀行のモデルでは、実質GDP成長率予想にコンセンサス・フォーキャストを使用しており、係数に差異が生じている。なお、**は5%有意であることを示す。

2 「「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果についての総括的な検証【背景説明】」の中で、「2014年入り後に1単あたりの国債買入れ効果が減少したと考えれば、統計的に良好な結果が得られることが分かった」とあり、本稿でもその結果を踏襲している。
2――各金融政策による日本国債金利(10年物)に対する押し下げ効果の測定

3 「物価安定の目標」の導入効果に関して、本モデルにおいて「YCCとオーバーシュート型コミットメント」導入時(


3――2018年末以降の日本国債金利(10年物)の低下要因
つまり、米国債金利(10年物)の低下と連動したこと、フォワードガイダンスの導入後に日本国債金利(10年物)と期待インフレ率の連動性が高まっている中で期待インフレ率が低下して「物価安定の目標に関する時間軸効果」が働いたことが、2018年末より生じた主な日本国債金利(10年物)の低下要因といえるだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

03-3512-1848
(2019年02月05日「基礎研レター」)
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