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中国経済の現状と今後の注目点~債務圧縮(デレバレッジ)と景気対策には矛盾点、19年成長率目標は引き下げか
三尾 幸吉郎
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- 18年10-12月期の経済成長率は実質で前年比6.4%増となった。党大会前に実施した景気対策で債務が膨張したため、中国政府は18年に入り債務圧縮(デレバレッジ)を本格化、インフラ投資は急減速した。米中貿易摩擦がそれに追い討ちをかけたため景気はさらに悪化、中国株は下落し消費者マインドに打撃を与えて、中国経済は3四半期連続の減速となった(下左図)。一方、消費者物価は2%前後で推移、18年の抑制目標「3%前後」を下回った。
- 個人消費の代表的な指標である小売売上高を見ると、18年は前年比9.0%増と、17年の同10.2%増を1.2ポイント下回った。また、今後の個人消費動向を占う上で重要な雇用関連指標は今のところ堅調で、消費者信頼感指数はまちまちの動きを示している。
- 投資の代表的な指標である固定資産投資を見ると、18年は前年比5.9%増と、17年の同7.2%増を1.3ポイント下回った。製造業は前年比9.5%増と17年の同4.8%増を大きく上回ったものの、インフラ投資が同3.8%増と17年の同19.0%増を大きく下回った。また、工業設備稼働率や企業家信頼感指数を見ると、米中貿易摩擦の影響がじわじわと拡がってきている。
- 貿易動向を見ると、18年の輸出額は前年比9.9%増と17年の同7.9%増をやや上回り、輸入額は同15.8%増と17年の同16.1%増をやや下回り、貿易黒字は3518億ドルと17年の4196億ドルから678億ドル減少した。新規輸出受注が落ち込んでいるのに加えて、今後は駆け込み輸出の反動減も見込まれることから、米中貿易摩擦の影響はこれから顕在化してきそうだ。
- 習近平政権が17年の中央経済工作会議で打ち出した「重大リスクの防止・解消~債務圧縮(デレバレッジ)など」の方針と、その後の景気悪化を受けた「反循環調節(景気対策)」には一部に矛盾点がある。その両立を目指すため、19年の成長率目標は18年の「6.5%前後」から引き下げる可能性がある(下右図)。全人代(19年3月開催)の政府活動報告に注目したい。
(2019年01月25日「Weekly エコノミスト・レター」)
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