2018年12月25日

【11月米個人所得・消費支出】個人所得(前月比)は+0.2%と市場予想を下回るも、個人消費(同)は+0.4%と予想を上回る伸び

経済研究部 主任研究員   窪谷 浩

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1.結果の概要:名目個人所得は予想を下回るも、消費支出は予想を上回る

12月21日、米商務省の経済分析局(BEA)は11月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は前月比+0.2%(前月値:+0.5%)となり、前月および市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.3%を下回った。個人消費支出(名目値)は前月比+0.4%(前月改定値:+0.8%)と、こちらは+0.6%から上方修正された前月は下回ったものの、市場予想(+0.3%)を上回った(図表1)。また、価格変動の影響を除いた実質個人消費支出は前月比+0.3%(前月改定値:+0.6%)と、こちらは+0.4%から上方修正された前月を下回った一方、市場予想(+0.3%)に一致した(図表5)。貯蓄率1は6.0%(前月:6.1%)と前月から▲0.1%ポイントの低下となった。

価格指数は、総合指数が前月比+0.1%(前月:+0.2%)と前月を下回った一方、市場予想(横這い)は上回った。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は、+0.1%(前月値:+0.1%)と、こちらは前月並みの伸びとなった一方、市場予想(+0.2%)は下回った(図表6)。前年同月比では、総合指数が+1.8%(前月値:+2.0%)と、前月から低下した一方、市場予想(+1.8%)に一致した。コア指数は+1.9%(前月値:+1.8%)とこちらは前月を上回った一方、市場予想(+1.9%)に一致した(図表7)。
 
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。

2.結果の評価:消費が所得の伸びを上回り、貯蓄率は13年以来の水準に低下

名目個人消費支出(前月比)は、17年9月以来の高い伸びとなった前月から低下したものの、引き続き堅調な伸びを維持した(図表1)。
(図表1)個人所得・消費支出、貯蓄率 個人所得は18年1月以来の伸びとなった前月から低下し、消費の伸びを下回った。

この結果、貯蓄率は18年2月(7.4%)をピークに低下基調が持続しており、11月は13年3月(5.9%)以来の水準となった。このため、所得対比でみた消費余力は低下している。

一方、足元で株式市場が不安定になっており、消費への影響が懸念されるが、労働市場の回復が持続しているほか、消費者センチメントは高い水準を維持しているため、消費への影響は限定的とみられる。

物価は総合指数(前年同月比)が9ヵ月ぶりにFRBの物価目標である2%を下回った。一方、コア指数は、物価目標を下回ったものの、総合指数とは対照的に前月からは上昇しているため、基調としての物価は底堅いとみられる。

3.所得動向:前月に続き、自営業者所得が大幅に増加

個人所得の内訳をみると、賃金・給与が前月比+0.2%(前月:+0.4%)と、18年5月(+0.1%)以来の水準に低下したほか、利息・配当収入も横這い(前月:+0.3%)とこちらも前月から伸びが鈍化した(図表2)。一方、自営業者所得は+1.0%(前月:+1.6%)と前月から鈍化したものの、高い伸びを維持した。これは農業関連の政府補助金によって農業関連自営業者の所得が前月から、更に5割近い伸びとなったことが大きいようだ。また、政府による社会保障関連の補助金など移転所得は横這い(前月:+0.4%)とこちらは前月から伸びが鈍化した。

個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は+0.2%(前月値:+0.5%)と前月から伸びが鈍化した(図表3)。また、価格変動の影響を除いた実質ベースでは+0.2%(前月:+0.3%)と、こちらも前月から伸びが鈍化した。
(図表2)名目個人所得(前月比寄与度)/(図表3)可処分所得(名目、実質)

4.消費動向:財、サービス消費ともに前月から伸びが鈍化

名目個人消費(前月比)は、財消費が+0.4%(前月:+0.9%)となったほか、サービス消費も+0.4%(前月:+0.7%)となり、いずれも前月から伸びが鈍化した(図表4)。財消費では、耐久財が+0.9%(前月:+0.8%)と小幅ながら前月から伸びが加速した一方、非耐久財が+0.2%(前月:+0.9%)と伸びが鈍化した。

耐久財では、自動車・自動車部品が+0.1%(前月:+1.2%)と大幅に伸びが鈍化したものの、家具・家電が+1.1%(前月:+0.4%)、娯楽財・スポーツカーが+1.6%(前月:+0.8%)と前月から伸びが加速し、全体を押上げた。

非耐久財では、食料・飲料が+0.6%(前月:+0.2%)と前月から伸びが加速したほか、衣料・靴も+0.8%(前月:+1.1%)と高い伸びを維持したものの、ガソリン・エネルギーが▲3.8%(前月:+3.7%)と、高い伸びとなった前月の反動もあり、大幅な減少となった。
一方、サービス消費では、住宅・公共料金が+0.9%(前月:+1.0%)と前月に続き高い伸びを維持したものの、外食・宿泊が▲0.5%(前月:+0.8%)となったほか、娯楽サービスも▲0.5%(前月:+1.0%)と前月から減少に転じた。
(図表4)名目個人消費(前月比寄与度)/(図表5)個人消費支出(名目、実質)

5.価格指数:前年同月比で食料品価格は伸びが加速も、エネルギー価格の伸びが鈍化

価格指数(前月比)の内訳をみると、エネルギー価格指数が▲2.1%(前月:+2.4%)と前月からマイナスに転じた一方、食料品価格指数は+0.2%(前月:▲0.2%)と、こちらはプラスに転じた。

前年同月比では、エネルギー価格指数が+3.4%(前月:+9.3%)と前月から伸びが鈍化した(図表7)。食料品価格指数は+0.6%(前月:+0.3%)とこちらは前月から伸びが加速した。
(図表6)PCE価格指数(前月比)/(図表7)PCE価格指数(前年同月比)
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

(2018年12月25日「経済・金融フラッシュ」)

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