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- 米国経済の見通し-通商政策への懸念はあるが、19年にかけて米経済は堅調、ただし、20年は景気減速を予想
2018年12月10日
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■要旨
- 米国の7-9月期の成長率(前期比年率)は+3.5%(前期:+4.2%)と前期から低下も、高成長が持続。好調であった民間設備投資の伸びが鈍化したほか、中国による米国産大豆に対する制裁関税実施前の駆け込み需要の反動減から、外需は成長を大幅に押下げた。一方、在庫投資が成長を押上げたほか、個人消費が好調を維持した。
- 足元で株式市場は不安定な動きをみせているものの、労働市場の回復持続、個人所得減税に伴う可処分所得の増加などを背景に、消費者センチメントは高水準を維持しており、年末商戦は好調な見通し。
- 当研究所では、19年にかけては個人消費主導の景気回復に加え、減税や拡張的な財政政策に伴う景気押上げから、成長率(前年比)は18年が+2.9%、19年が+2.6%と高い伸びを予想。しかしながら、20年は循環的な景気拡大局面の終了、財政や金融政策による景気押上げ効果の剥落などから、景気は減速し成長率は+1.8%まで低下すると予想。
- 金融政策は、19年以降も利上げ継続が予想されるものの、来年後半以降の景気減速が視野に入る中、19年は年2回の利上げに留め、当面利上げは打ち止めとなる見込み。
- 米経済に対するリスクは、海外経済の減速に加え、米国内政治の混乱。とくに、米政治では、トランプ大統領は米中首脳会談で米中貿易戦争の一時休戦に合意したものの、来年以降に再燃するリスクを孕むほか、輸入自動車に対する追加関税など、保護主義的な通商政策が持続する見込み。また、11月の中間選挙により来年からの新議会では下院で民主党が多数を占めるねじれ議会となることから、トランプ大統領と野党民主党の対立激化によって議会が機能不全となる可能性が高く、米経済への悪影響が懸念される。
■目次
1.経済概況・見通し
・(経済概況)7‐9月期の成長率は、前期から低下も個人消費は好調を維持
・(経済見通し)成長率は18年+2.9%、19年+2.6%、20年は+1.8%を予想
2.実体経済の動向
・(労働市場)労働市場の回復が持続。労働需給の逼迫から賃金上昇率が加速
・(設備投資)18年7-9月期の減速が一時的か見極め
・(住宅投資)住宅価格、住宅ローン金利の上昇から住宅市場の回復に遅れ
・(政府支出、債務残高)ねじれ議会で迎える20年度予算審議、歳出上限、
債務上限の対応に注目
・(貿易)引き続き保護主義的な通商政策が実体経済のリスク要因
3.物価・金融政策・長期金利の動向
・(物価)基調としての物価上昇は持続も、総合指数は原油価格の下落で
上昇圧力は当面低下
・(金融政策)19年は年2回利上げで、予測期間中は政策金利を据え置き
・(長期金利)19年以降も政策金利の引き上げ継続、期間プレミアムの
拡大から金利上昇が持続
1.経済概況・見通し
・(経済概況)7‐9月期の成長率は、前期から低下も個人消費は好調を維持
・(経済見通し)成長率は18年+2.9%、19年+2.6%、20年は+1.8%を予想
2.実体経済の動向
・(労働市場)労働市場の回復が持続。労働需給の逼迫から賃金上昇率が加速
・(設備投資)18年7-9月期の減速が一時的か見極め
・(住宅投資)住宅価格、住宅ローン金利の上昇から住宅市場の回復に遅れ
・(政府支出、債務残高)ねじれ議会で迎える20年度予算審議、歳出上限、
債務上限の対応に注目
・(貿易)引き続き保護主義的な通商政策が実体経済のリスク要因
3.物価・金融政策・長期金利の動向
・(物価)基調としての物価上昇は持続も、総合指数は原油価格の下落で
上昇圧力は当面低下
・(金融政策)19年は年2回利上げで、予測期間中は政策金利を据え置き
・(長期金利)19年以降も政策金利の引き上げ継続、期間プレミアムの
拡大から金利上昇が持続
(2018年12月10日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
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