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- 続・女性のライフコースの理想と現実-人気の「両立コース」の実現には本人の資質より周囲の影響が大
2018年12月12日
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■要旨
■目次
1――はじめに~理想のライフコースで最も人気の「両立コース」。
実現への影響が大きい要因は何か?
2――「両立コース」の実現へ影響を与える要因
~正規雇用者や自営業、母の就労経験、若い世代
3――年齢別に見た「両立コース」の実現へ影響を与える要因
~若い世代は夫の年収が高くても仕事を辞めない、40代は義理の実家と別居の方が
「両立コース」を実現
4――おわりに~「両立コース」の実現には、現在のところ、
本人の資質より周囲の影響が大
- 女性の理想のライフコースとして最も人気が高いのは、結婚・出産後も仕事を辞めずに働き続ける「両立コース」だが、その実現度は3割に満たない。理想通り実現している女性の特徴を見ると、いくつかの属性に特徴が見られた。本稿では「両立コース」の実現には、どのような属性の影響が大きいのか、重回帰分析を用いて分析する。
- 分析の結果、「両立コース」の実現には、就業状態が正規雇用者や自営業であることや母親も働いていたことが正の影響を、配偶者の年収や年齢の高さは負の影響を与えていた。最終学歴や体力の程度は正の傾向があるものの有意な値ではないため、高学歴であることや体力があることよりも、就業状態や母親の就労経験の方が多大な影響を与えると言える。
- 年齢階級別に分析した結果では、いずれの年齢階級でも女性全体と同様、就業状態や母親のライフコースは正の影響を与えるが、配偶者の年収の高さについて25~39歳では負の影響は見られない。若い年代では、配偶者の年収が高くても、妻は仕事を辞めるわけではない。
- このほか女性全体の結果と異なる点は、40代では、義理の実家と別居していた方が「両立コース」を実現しやすいことだ。一方で有意な値ではないものの、25~39歳では、逆の傾向があり、女性の社会進出が進む中で、親世代も女性自身も価値観が変わることで、若い世代では義理の実家の手助けも上手く得ながら、「両立コース」を実現する女性が増えている可能性がある。
- 現在のところ、女性が理想通り「両立コース」を実現するには、学歴や体力などの本人の資質よりも、就労環境や母親の状況、世間の風潮、配偶者の年収など周囲の影響によるところが大きい。両立に関わる制度や柔軟な働き方、周囲の理解や助けなどを上手く活用することが「両立コース」を実現する鍵である。
- 一方で、第二次安倍政権発足以降、「女性の活躍推進」政策からはじまり、「1億総活躍社会」、「働き方改革」などにおいて、女性の就労を巡る環境は大きく変わろうとしている。過渡期の現在では、周囲の影響が大きいが、今後は本人の資質 がより大きく関与するようになるだろう。
■目次
1――はじめに~理想のライフコースで最も人気の「両立コース」。
実現への影響が大きい要因は何か?
2――「両立コース」の実現へ影響を与える要因
~正規雇用者や自営業、母の就労経験、若い世代
3――年齢別に見た「両立コース」の実現へ影響を与える要因
~若い世代は夫の年収が高くても仕事を辞めない、40代は義理の実家と別居の方が
「両立コース」を実現
4――おわりに~「両立コース」の実現には、現在のところ、
本人の資質より周囲の影響が大
(2018年12月12日「基礎研レター」)
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経歴
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
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