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- 女性のライフコースの理想と現実-最も人気の「両立コース」の実現度は3割弱。就労継続の鍵は?
女性のライフコースの理想と現実-最も人気の「両立コース」の実現度は3割弱。就労継続の鍵は?
![](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/83_ext_01_0.jpeg?v=1709630256)
生活研究部 上席研究員 久我 尚子
- かつて女性は皆、同様のライフコースをたどっていた。学校卒業後に就職し、結婚・出産で退職し、子育てが落ち着いたらパートなどで働き始める。しかし、子育て期も働く女性が増え、未婚化・晩婚化、晩産化で同年代でもライフコースは多様化している。本稿では、25~59歳の女性5千人を対象とした調査を用いて、現代女性の理想のライフコースと現実のギャップを捉え、理想を実現している女性の特徴を分析する。
- 女性の理想のライフコースで最も多いのは結婚・出産後も働き続ける「両立コース」、次いで、結婚・出産を機に退職し、その後、また働き出す「再就職コース」が多い。若いほど「両立コース」が多いが、両者を合わせた『働く母親コース』を理想とする割合は年齢によらず6割だ。
- 居住地域や学歴等の属性別に特徴を見ると、いずれも「両立コース」や「再就職コース」が人気だが、「両立コース」は特に高専卒や大学卒(共学)、大学院卒で、また、母親も「両立コース」であった女性で理想とする割合が高い。
- ライフコースが固まりつつある40~50代の女性について、理想のライフコースと現実の一致度(実現度)を見ると、全体で41.8%だ。実現度が最も高いのは「独身就業コース」で7割を超え、最も低いのは「両立コース」で3割に満たない。「両立コース」は理想のライフコースで最も人気が高いだが、現実的には7割が実現できていない。
- 「両立コース」を理想通り実現している女性は、若い世代、北陸などの中部地方や九州地方居住者、高専卒や大学卒(共学)、正規雇用者、母親も「両立コース」、実家と同居・近居、義理の実家とは別居、一方で若い世代では義理の実家とは同居・近居が多くなっていた。
- 仕事と家庭の両立という話題は、とかく女性の問題として語られがちだ。一方で親の介護は嫁ではなく息子へと移っている。男性が仕事と介護を両立しやすい環境を考えた際、実は必要なのは時間短縮勤務制度や月単位の長期休暇など、現在、育児中の女性が利用しているものだ。つまり、女性が理想のライフコースを歩むための諸条件は、実は女性だけでなく男性も、皆にとって必要なものだ。
■目次
1――はじめに
~M字カーブは解消傾向、子育て期も働く女性が増加。女性の理想のライフコースとは?
2――現代女性の理想のライフコース
1|理想のライフコース
~「両立」や「再就職」の『働く母親コース』が6割、若いほど「両立」が多い
2|属性別に見た理想のライフコース
~大学院卒や大卒(共学)、高専卒で「両立」が多く、働く 母の影響も大
3――現代女性のライフコースの理想と現実
1|ライフコースの理想と現実
~40・50代女性の実現度は4割、人気の「両立」は7割が実現できず
2|「両立コース」を実現している女性の特徴
~若い世代、中部地方や九州地方、正規雇用者、母親も「両立コース」、
実家の手助け、若い世代では義理の実家の手助けも、体力あり
4――おわりに
~女性が理想のライフコースを実現するために必要な環境整備は、実は男性にも必要
(2018年11月27日「基礎研レポート」)
![](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/83_ext_01_0.jpeg?v=1709630256)
03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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