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健康に関わる女性の不安-年齢とともに感染や罹患から介護へ、未婚40代は不安最多だが半数は対策をしておらず

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- 平均寿命が延び人生100年時代が到来している。本稿では調査データを用いて、健康や医療、介護に関わる不安にはどのようなものがあり、特にライフコースの多様化する女性では年齢や未既婚、子の有無、働き方により、どう違うのかを捉える。
- 20~60代の男女に健康に関わる23の不安を尋ねて得たデータに因子分析を行ったところ、「受傷・罹患」「要介護関連」「医療過誤・感染」「介護・医療サービス受給」「インフォームド・コンセント」の5つに要約された。女性や高年齢層で「要介護関連」が、若年層は「医療過誤・感染不安」が強い傾向がある。
- 女性ではライフコースによらず年齢とともに医療過誤・感染の被害や受傷・罹患から介護に対する不安へとうつる。不安最多は40歳代の未婚女性で、自身の有事への不安や婦人科系疾患の罹患率が上昇する年代であることが影響しているようだ。
- 一方で、健康不安などへの日常的な対策は、属性によらず「かかりつけ医など、信頼のできる相談相手を身近にみつける」が最も多いが、これを超えて「特にない」も多い。対策をしている者は、不安の強い女性や高齢層で多い傾向がある。
- 不安最多の40歳代未婚女性では約半数しか対策をしていない。要介護時など重篤な事態へ備えるだけでなく、日常時の不調に対する備えを充実させることも不安軽減につながる可能性がある。
- なお、男性は女性と比べて健康不安が非常に少なく、対策をしている者も少ない。背景には、女性と比べて健康意識が高くないこと、また、既婚者は妻にまかせているために関心が薄いことがあるのだろう。
- 平均寿命が延び、健康不安を抱える時期は長期化している。また、ライフコースの多様化で、不安の持ち方も多様化している。本稿で見たような属性に加えて、経済状況や居住地などでも違いがあるだろう。生活者の不安やニーズを丁寧に捉えた商品・サービスの提供、政策の実行が活気ある社会につながるのではないだろうか。
■目次
1――はじめに
2――健康や医療、介護における不安~「受傷・罹患」「要介護関連」「医療過誤・感染」
「介護・医療サービス受給」「インフォームド・コンセント」の5つに集約
3――女性のライフコースによる不安の変化
~年齢とともに感染や罹患から介護へ、未婚40代女性が最多
4――健康や医療、介護に関わる対策
~特にない多数、不安最多40代未婚女性の半数は対策しておらず
5――まとめ~多様化するライフコースに合った商品・サービス、
政策で活気ある社会に、40歳代未婚女性は対策をすることで不安軽減の可能性も
(2018年01月31日「基礎研レポート」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
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