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2019年10月消費増税の家計への影響-前回より負担が抑えられる3つの理由

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- 2019年10月に消費税率は10%へ引き上げられる。前回の消費増税時と比べて今回は主に3つの理由から家計の負担を抑えられるだろう。1つは、税率の引き上げ幅が2%であり前回の3%と比べて小さいためだ。
- 2つ目の理由は、軽減税率制度が同時実施されるためだ。食料は高年収世帯でも消費支出に占める割合が最も高く、購入頻度も高いため、税率が変わらないことは消費者の心理的負担を和らげる可能性もある。なお、軽減税率を考慮すると、今回の増税で世帯あたり、年平均+4.3万円の負担増となる。
- 3つ目の理由は、幼児教育無償化が全面開始されるためだ。未就学児のいる子育て世帯という限定的な対象ではあるが、日本の消費市場の持続的拡大を考える上で、将来を担う世代を育てる現役世帯の家計負担の軽減を図ることは非常に有意義だ。
- さらに、今回も住宅や自動車購入時の負担軽減策など消費下支え策が検討されている。今回は「プレミアム商品券」やキャッシュレス決済時に増税分の2%を還元する案も検討されているが、これらについては今後の議論を待って考察したい。
- 増税に伴う負担軽減策の検討は重要だがが、そもそも若い世代ほど雇用の不安定化や賃金の減少で厳しい経済環境にあり、将来の社会保障不安もあることを考えれば、現役世代の雇用の安定化や可処分所得の引き上げ、社会保障制度の持続性確保の検討も引き続き進めなければならない。
■目次
1――はじめに~現在の家計消費動向はマクロでは緩やかに改善傾向、
ミクロでは世帯によるバラつきも
2――前回増税時より影響が抑えられる3つの理由
~(1)税率引上げ幅2%(2)軽減税率(3)幼児教育無償化
1|税率引き上げ幅が2%
2|軽減税率制度の同時実施
3|幼児教育無償化の全面開始
4|その他、消費下支え策の検討も
3――おわりに~負担軽減だけでなく、可処分所得の引き上げなど
現役世代の経済基盤の安定化が必要
(2018年10月29日「基礎研レター」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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