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- 7%台半ばの堅調な成長続くも、先行きのインフレリスクに注意
2018年11月05日
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1 ベース効果とは、実質GDPを前年比で示す場合、比較対象となる前年の実質GDPの水準が高い(または低い)と今年の上昇率が低く(または高く)なる算術的な影響を意味する。
経済の先行きは、7-9月期まではGST導入による景気減速の反動から高めの成長が続くものの、ベース効果の剥落によって成長率の低下は避けられないだろう。しかし、来春の総選挙を控えて政府支出と農村部の消費が拡大することから、7%台半ばの堅調な成長は続こう。モディ政権は財政赤字目標(GDP比)を緩めることにより今年度予算のインフラ整備や農村・中小企業支援策に重点配分している。来春の総選挙を控えて政府支出は拡大しよう。もっともインドは中期的な財政健全化計画の途上にあり、総選挙後には財政再建を進める可能性が高い。19 年度後半には政府部門の景気の押上げは期待できなくなりそうだ。
民間投資については、まずインフラや住宅開発などの政府プロジェクトが呼び水となって建設投資をサポートするだろう。また内需拡大を背景に製造業の設備稼働率が上向くなど、企業は生産能力の拡張に前向きになってきているほか、景気が回復したインド市場が魅力的な投資先と判断されて外国直接投資が前年を上回っており、設備投資も底堅く推移しよう。さらに今後はGST導入や破産倒産法などモディ政権の構造改革のプラス効果が顕在化することも投資の持続的な拡大に寄与するものと見込まれる。一方、金利が上昇するなかで国有銀行が不良債権処理を進めていくことから、貸出の大幅な拡大は見込みにくい。設備投資の本格回復にはもう暫く時間が必要だ。

(2018年11月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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