2018年09月07日

東京オフィス市場は一段と改善。Jリート市場は好調維持。-不動産クォータリー・レビュー2018年第2四半期

基礎研REPORT(冊子版)9月号

金融研究部 主任研究員   吉田 資

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国内経済の緩やかな回復基調が続く中、東京オフィス市場の空室率は、ファンドバブル期と同水準の1%前半まで低下し、賃料はリーマンショック後の最高値を更新した。J-REIT市場は好調を維持し、東証REIT指数は年初から6.1%上昇した。

1―経済動向・住宅市場

2018年4-6月期の実質GDP成長率(1次速報)は、前期比年率1.9%と2四半期ぶりのプラス成長となった。2018年6月の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIは+21となり2期連続で悪化したものの高水準を維持し、大企業・不動産業のDIも+37と好調が続いている[図表1]。
[図表1]日銀短観の動向
一方、新規住宅着工戸数は、2017年下期以降、前年を下回る月が多く、2018年6月も前年同月比▲7.1%の81,275戸となった。2018年第2四半期のマンション新規発売戸数は、長期的にみて低水準に留まった[図表2]。2018年第2四半期の首都圏中古マンションの成約件数も前年同期比▲1.5%の9,339件となり、頭打ち感が見られる。
[図表2]首都圏のマンション新規発売戸数

2―地価動向

国土交通省の「地価LOOKレポート(2018年第1四半期)」によると、全国100地区のうち91の地区が上昇となり、下落する地区がない状況が、2014年第3四半期以降続いている[図表3]。主要政令市の中心部における大規模開発事業の進捗や、金融緩和による国内外の投資マネーの流入等から、不動産需要は高水準であり、地価の上昇が続いている。
[図表3]全国の地価上昇・下落地区の推移

3―不動産サブセクターの動向

1│オフィス
三幸エステート公表の「オフィスレント・インデックス」によると、2018年第2四半期の東京都心部Aクラスビルの空室率は、前期比0.6%低下の1.2%と、ファンドバブル期と同水準まで低下した[図表4]。賃料は36,952円( 前期比+5.5%)と、リーマンショック後の最高値を更新した。

東京都区部では、2018年と2020年に、高水準の新規供給が予定されているが、需給が逼迫する中で、2018年に竣工するビルの多くはテナントが決まりつつある。

ニッセイ基礎研究所では、オフィス市況は、2019年第3四半期まで底堅く推移するが、その後は消費増税と2020年の大量供給を控えて、ピークアウトすると予想している。
[図表4]東京都心部Aクラスビルの空室率と成約賃料
2│賃貸マンション
2018年第1四半期の東京23区のマンション賃料は、シングルタイプが前年同期比+1.9%、コンパクトタイプが+2.5%、ファミリータイプが+3.5%と、全てのタイプで上昇した[図表5]。

継続的な人口流入に支えられた東京の賃貸マンション需要は底堅く、賃料の安定的な上昇に寄与していると考えられる。
[図表5]東京23区のマンション賃料指数
3│商業施設・ホテル・物流施設
2018年第1四半期の東京主要商業エリアの店舗賃料は、銀座が前期比+4.9%、表参道が+1.2%、新宿が▲8.3%、渋谷が+2.0%、池袋が+14.9%となり、新宿を除くすべてのエリアで上昇した[図表6]。インバウンド消費や国内富裕層の消費は堅調に推移し、出店ニーズが高まる中、募集物件は少なく需給が逼迫しており、賃料は上昇傾向で推移している。
[図表6]東京主要商業エリア店舗賃料(全フロア・四半期)
全国61都市のホテル客室稼動率は、2018年2月以降80%を上回り、高稼動を維持している[図表7]。航空路線の拡充やクルーズ船寄港数の増加、ビザ緩和を背景とした訪日外国人客数の増加に支えられ、客室稼働率は好調を維持している。
[図表7]ホテル客室稼働率の暦年月次ベース(全国)
首都圏の大型物流施設の2018年第2四半期の空室率は、前期比1.6%低下の5.3%、近畿圏は前期比3.7%低下の17.5%となった[図表8]。インターネット通販市場の拡大に伴い、Eコマース関連企業を中心とした需要が旺盛な模様である。ただし、首都圏では、2019年に約60万坪の大量供給が予定されており、空室率は上昇に転じる可能性がある。
[図表8]大型マルチテナント型物流施設の空室率

4― J-REIT(不動産投信)・ 不動産投資市場

1│J -REIT(不動産投信)
2018年6月末の東証REIT指数(配当除き)は、3月末比4.5%上昇しTOPIXを2四半期連続で上回った。セクター別にみると、オフィスが5.7%、住宅が4.5%、商業・物流等3.0%上昇した[図表9]。需給面では、海外投資家による買越し基調が継続しており、年初からの東証REIT指数の上昇率は、6.1%に拡大した。

第2四半期の物件取得額は3,189億円(前年同期比+26%)となった。国内の不動産売買額が昨年比で減少するなか、J-REITによる新規取得は高水準を維持している。
[図表9]東証REIT指数(配当抜き、2017年12月末=100)
[図表10]物件タイプ別NOI利回り(東京) 2│不動産投資市場
2018年第1四半期の東京のNOI利回りは、すべての物件タイプで過去最低水準まで低下した[図表10]。

ニッセイ基礎研究所が行った不動産投資市場に関するアンケート調査では、「不動産投資市場への影響が懸念されるリスク」との質問に対し、「金利」との回答は、2018年調査(58.4%)、2017年調査(52.8%)ともに、回答者の過半数を占めた。多くの不動産投資家が金利動向を注目している。

日本銀行は2018年7月末に開催された金融政策決定会合で金融政策の修正を行った。金利急上昇の回避策が盛り込まれているものの、長期金利は現時点の水準から上昇すると予測される。

当面、金融政策の修正が、不動産投資市場に及ぼす影響を注視する必要がある。
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金融研究部   主任研究員

吉田 資 (よしだ たすく)

研究・専門分野
不動産市場、投資分析

(2018年09月07日「基礎研REPORT(冊子版)」)

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