- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 米国経済 >
- 米経済が好調な中でも、停滞が続く住宅市場
2018年10月03日
また、需要面では住宅価格や住宅ローン金利の上昇が住宅ローン返済額の増加を通じて影響している可能性を指摘できる。中古住宅を取得する際の住宅ローン返済額と所得を比べた住宅取得能力指数をみると、足元では130 台と依然として所得水準が住宅ローン返済額を3割程度上回る状況となっている(図表3)。
しかしながら、同指数の推移をみると、13 年の200 超からは大幅に低下しているほか、18 年に入って低下スピードが加速していることが分かる。これは、住宅価格が上昇していることに加え、16 年後半からは住宅ローン金利が上昇に転じ住宅ローン返済額を増加させている影響が大きいためと考えられる。住宅価格や住宅ローン金利は今後も上昇基調の持続が見込まれており、所得が住宅ローン返済額の増加に追いつかない場合には、住宅取得能力の低下を通じて住宅需要に影響する可能性が高い。
しかしながら、同指数の推移をみると、13 年の200 超からは大幅に低下しているほか、18 年に入って低下スピードが加速していることが分かる。これは、住宅価格が上昇していることに加え、16 年後半からは住宅ローン金利が上昇に転じ住宅ローン返済額を増加させている影響が大きいためと考えられる。住宅価格や住宅ローン金利は今後も上昇基調の持続が見込まれており、所得が住宅ローン返済額の増加に追いつかない場合には、住宅取得能力の低下を通じて住宅需要に影響する可能性が高い。
一方、米国では非農業部門雇用者数が10 年10 月から18 年8月まで統計開始以来最長となる95 ヵ月連続で増加しているほか、失業率も18 年ぶりとなる4%割れの水準に低下しており、労働市場の回復が続いている。このため、雇用不安の後退などを背景に住宅購入意欲は強い。連邦住宅抵当公庫(ファニーメイ)が発表している住宅購入センチメント指数は、18 年8月が88.0 と高い水準を維持している。もっとも、同指数は統計開始以来最高であった18 年5月の92.3 から明確なピークアウトがみられる。実際、ファニーメイのシニアエコノミストは「住宅供給が緩やかな伸びに留まっているため、住宅売却を考えている者が売却後の購入物件を見つけるのが難しくなっていることや、住宅ローン金利の上昇見込み、住宅価格の大幅な上昇、などによって同指数が停滞期に到達したようだ」と指摘している。このため、住宅購入意欲は依然として強いものの、回復が頭打ちとなる可能性が高い。
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1824
経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
(2018年10月03日「ニッセイ年金ストラテジー」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月19日
しぶといドル高圧力、一体いつまで続くのか?~マーケット・カルテ5月号 -
2024年04月19日
年金将来見通しの経済前提は、内閣府3シナリオにゼロ成長を追加-2024年夏に公表される将来見通しへの影響 -
2024年04月19日
パワーカップル世帯の動向-2023年で40万世帯、10年で2倍へ増加、子育て世帯が6割 -
2024年04月19日
消費者物価(全国24年3月)-コアCPIは24年度半ばまで2%台後半の伸びが続く見通し -
2024年04月19日
ふるさと納税のデフォルト使途-ふるさと納税の使途は誰が選択しているのか?
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【米経済が好調な中でも、停滞が続く住宅市場】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
米経済が好調な中でも、停滞が続く住宅市場のレポート Topへ