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- 【4-6月期米GDP】前期比年率+4.1%、個人消費、外需好調で14年7-9月期以来の伸び
2018年07月30日
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1.結果の概要:成長率は、市場予想を下回るも、個人消費、外需の好調で前期から加速
4-6月期の成長率を需要項目別にみると、住宅投資が前期比年率▲1.1%(前期:▲3.4%)と2期連続でマイナスとなったほか、在庫投資の成長率寄与度も▲1.0%ポイント(前期:+0.27%ポイント)とマイナス寄与に転じた(図表2)。一方、民間設備投資が前期比年率+7.3%(前期:+11.5%)と、前期から鈍化したものの、高い伸びを維持したほか、政府支出が+2.1%(前期:+1.5%)、個人消費も+4.0%(前期:+0.5%)と前期から伸びが加速した。とくに、個人消費は成長率寄与度が+2.69%ポイント(前期:+0.36%ポイント)となっており、成長率を大幅に押上げたことが分かる。
さらに、外需の成長率寄与度も+1.06%ポイント(前期:▲0.02%ポイント)と3期ぶりにプラスに転じ、成長率を大幅に押上げた。なお、在庫投資と外需を除いた国内最終需要は前期比年率+3.9%(前期:+1.9%)と、前期から大幅に伸びが加速しており、外需を除いても高い伸びであったことが分かる。
今回は、5年毎に実施される包括改定に伴い、1929年以降の成長率について改定値が発表された。今回の改定では、実質化の基準年次が09年から12年に変更されたほか、ソフトウエアに関する研究開発の扱いや季節調整方法など広範な見直しが行われた。この結果、成長率(前年比)は16年が+1.5%→+1.6%(+0.1%ポイント)と上方修正された一方、17年が+2.3%→+2.2%(▲0.1%ポイント)に下方修正された。17年以降の四半期毎の成長率(前期比年率)は、1-3月期(+1.2%→+1.8%)、4-6月期(+3.1%→+3.0%)、7-9月期(+3.2%→+2.8%)、10-12月期(+2.9%→+2.3%)、18年1-3月期(+2.0%→+2.2%)となった。
1 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
さらに、外需の成長率寄与度も+1.06%ポイント(前期:▲0.02%ポイント)と3期ぶりにプラスに転じ、成長率を大幅に押上げた。なお、在庫投資と外需を除いた国内最終需要は前期比年率+3.9%(前期:+1.9%)と、前期から大幅に伸びが加速しており、外需を除いても高い伸びであったことが分かる。
今回は、5年毎に実施される包括改定に伴い、1929年以降の成長率について改定値が発表された。今回の改定では、実質化の基準年次が09年から12年に変更されたほか、ソフトウエアに関する研究開発の扱いや季節調整方法など広範な見直しが行われた。この結果、成長率(前年比)は16年が+1.5%→+1.6%(+0.1%ポイント)と上方修正された一方、17年が+2.3%→+2.2%(▲0.1%ポイント)に下方修正された。17年以降の四半期毎の成長率(前期比年率)は、1-3月期(+1.2%→+1.8%)、4-6月期(+3.1%→+3.0%)、7-9月期(+3.2%→+2.8%)、10-12月期(+2.9%→+2.3%)、18年1-3月期(+2.0%→+2.2%)となった。
1 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
2.結果の詳細:
(個人消費・個人所得)財、サービスなど広範な分野で消費が加速
4-6月期の個人消費は、財消費が前期比年率+5.9%(前期:▲0.6%)と前期からプラスに転じたほか、サービス消費も+3.1%(前期:+1.0%)と前期から伸びが加速した(図表3)。財消費では、自動車・自動車部品が+8.4%(前期:▲12.7%)と前期からプラスに転じたこともあって耐久財が+9.3%(前期:▲2.0%)となったほか、ガソリン・エネルギーが+3.1%(前期:▲3.1%)、衣料・靴が+8.7%(前期:▲7.4%)と前期からプラスに転じたこともあって、非耐久財も+4.2%(前期:+0.1%)と前期から伸びが加速した。
また、サービス消費も、金融サービスが+1.1%(前期:▲1.1%)と前期からプラスに転じたほか、住宅・公共料金が+2.4%(前期:+0.5%)、ヘルスケアサービスが+3.5%(前期:+1.4%)、娯楽サービスが+2.9%(前期:+1.8%)と軒並み前期から伸びが加速した。
一方、実質可処分所得は前期比年率+2.6%(前期:+4.4%)と、17年1-3月期(同+4.5%)以来の高い伸びとなった前期からは伸びが鈍化した(図表4)。また、貯蓄率は6.8%(前期:7.2%)と前期から低下した。
4-6月期の個人消費は、財消費が前期比年率+5.9%(前期:▲0.6%)と前期からプラスに転じたほか、サービス消費も+3.1%(前期:+1.0%)と前期から伸びが加速した(図表3)。財消費では、自動車・自動車部品が+8.4%(前期:▲12.7%)と前期からプラスに転じたこともあって耐久財が+9.3%(前期:▲2.0%)となったほか、ガソリン・エネルギーが+3.1%(前期:▲3.1%)、衣料・靴が+8.7%(前期:▲7.4%)と前期からプラスに転じたこともあって、非耐久財も+4.2%(前期:+0.1%)と前期から伸びが加速した。
また、サービス消費も、金融サービスが+1.1%(前期:▲1.1%)と前期からプラスに転じたほか、住宅・公共料金が+2.4%(前期:+0.5%)、ヘルスケアサービスが+3.5%(前期:+1.4%)、娯楽サービスが+2.9%(前期:+1.8%)と軒並み前期から伸びが加速した。
一方、実質可処分所得は前期比年率+2.6%(前期:+4.4%)と、17年1-3月期(同+4.5%)以来の高い伸びとなった前期からは伸びが鈍化した(図表4)。また、貯蓄率は6.8%(前期:7.2%)と前期から低下した。
(民間投資)建設投資は好調維持も、設備機器投資の伸びが鈍化
4-6月期の民間設備投資の内訳をみると、建設投資が前期比年率+13.3%(前期:+13.9%)と2桁の伸びを維持する一方、知的財産投資が+8.2%(前期:+14.1%)、設備機器投資も+3.9%(前期+8.5%)と前期から伸びが鈍化した(図表5)。とくに、当期は設備機器投資が16年10-12月期(同+0.9%)以来の伸びに低下したことが目立つ。
4-6月期の民間設備投資の内訳をみると、建設投資が前期比年率+13.3%(前期:+13.9%)と2桁の伸びを維持する一方、知的財産投資が+8.2%(前期:+14.1%)、設備機器投資も+3.9%(前期+8.5%)と前期から伸びが鈍化した(図表5)。とくに、当期は設備機器投資が16年10-12月期(同+0.9%)以来の伸びに低下したことが目立つ。
輸出を仔細にみると、サービス輸出が前期比年率+1.9%(前期:+4.2%)と前期から伸びが鈍化する一方、財輸出が+13.3%(前期:+3.2%)と伸びが加速し、輸出を牽引した(図表7)。財輸出では、自動車関連が▲17.6%(前期:+23.9%)となったほか、自動車を除く消費財も▲3.9%(前期:+13.7%)と前期からマイナスに転じた。一方、石油製品が+54.8%(前期:▲16.2%)と大幅に増加したこともあって、工業用原料が+14.8%(前期:▲7.0%)と2桁の伸びとなったほか、食料・飲料が+110.5%(前期:+14.4%)と3桁の増加となった。とくに、食料・飲料の輸出増加寄与度は+4.47%ポイントとなり、輸出の伸びの半分程度の寄与となった。
一方、輸入は、財輸入が前期比年率+1.0%(前期:+2.4%)と前期から伸びが鈍化したほか、サービス輸入が▲1.9%(前期:+5.5%)とマイナスに転じた(図表8)。財輸入では輸出同様、石油製品が+24.8%(前期:▲11.8%)と大幅に増加したこともあり、工業用原材料が+13.4%(前期:▲6.9%)と2桁の増加となったものの、自動車関連が▲10.4%(前期:+8.6%)、自動車を除く消費財も▲15.7%(前期:+16.0%)と、いずれも2桁の減少となった。
一方、輸入は、財輸入が前期比年率+1.0%(前期:+2.4%)と前期から伸びが鈍化したほか、サービス輸入が▲1.9%(前期:+5.5%)とマイナスに転じた(図表8)。財輸入では輸出同様、石油製品が+24.8%(前期:▲11.8%)と大幅に増加したこともあり、工業用原材料が+13.4%(前期:▲6.9%)と2桁の増加となったものの、自動車関連が▲10.4%(前期:+8.6%)、自動車を除く消費財も▲15.7%(前期:+16.0%)と、いずれも2桁の減少となった。
(物価・名目値)PCE価格指数、コア指数(前年同期比)ともに伸びが加速
4-6月期のGDP価格指数は、前期比年率+3.0%(前期:+2.0%)と前期から伸びが加速、市場予想(同+2.3%)も上回った。この結果、名目GDP成長率は前期比年率+7.4%(前期:同+4.3%)と前期から伸びが加速した(図表9)。
一方、FRBが物価の指標として注目するPCE価格指数2は、前期比年率+1.8%、前年同期比+2.2%(前期:+2.5%、+1.9%)と前期比では伸びが鈍化したものの、前年同期比は前期から伸びが加速し、FRBの物価目標(2%)を5四半期ぶりに上回った(図表10)。また、食料品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前期比年率+2.0%、前年同期比+1.9%(前期:+2.2%、+1.7%)と、こちらも前期比では伸びが鈍化、前年同期比では伸びが加速した。この結果、物価の基調を示すコア指数も前年同期比でFRBの物価目標にあと一歩の水準まで近づいており、物価目標の達成が視野に入ってきた。
4-6月期のGDP価格指数は、前期比年率+3.0%(前期:+2.0%)と前期から伸びが加速、市場予想(同+2.3%)も上回った。この結果、名目GDP成長率は前期比年率+7.4%(前期:同+4.3%)と前期から伸びが加速した(図表9)。
一方、FRBが物価の指標として注目するPCE価格指数2は、前期比年率+1.8%、前年同期比+2.2%(前期:+2.5%、+1.9%)と前期比では伸びが鈍化したものの、前年同期比は前期から伸びが加速し、FRBの物価目標(2%)を5四半期ぶりに上回った(図表10)。また、食料品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前期比年率+2.0%、前年同期比+1.9%(前期:+2.2%、+1.7%)と、こちらも前期比では伸びが鈍化、前年同期比では伸びが加速した。この結果、物価の基調を示すコア指数も前年同期比でFRBの物価目標にあと一歩の水準まで近づいており、物価目標の達成が視野に入ってきた。
2 現在、FOMCのメンバーは四半期に一度物価見通しを公表しており、そこで物価の指標として採用されている指数がPCE価格指数とコアPCE価格指数である。見通しは年単位で、各年の10-12月期における前年同期比が公表されている。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年07月30日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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