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- インターネット通販市場の成長と物流施設利用の方向性(1)~インターネット通販市場の成長可能性
2018年07月20日
図表11は、各社のインターネット通販市場の売上高を示したものである。国内でのインターネット通販事業の売上高が2,000億円を超える企業は、アマゾン(約1.3兆円)、ヤフー(約6,000億円)、楽天(約4,000億円)、アスクル(約3,000億円)である。
これまで、アマゾンとアスクルは直販型、ヤフーと楽天はモール型の代表格とされてきた。しかし、最近では、アマゾンの売上高に占めるモール型(「Amazonマーケットプレイス5」)の割合が増加している。モール型の割合を増加することで、商品の品揃えを増やし、利用者の利便性向上を目指していると考えられる。一方、モール型の代表格であるヤフーや楽天では、直販を強化している。即時配送が求められる中で、配送を柔軟にコントロールしやすい直販の利点を重視しはじめたと推察される。このように、大手インターネット通販事業者は、「モール型」と「直販型」を融合したビジネスモデルに向かっている。
これまで、アマゾンとアスクルは直販型、ヤフーと楽天はモール型の代表格とされてきた。しかし、最近では、アマゾンの売上高に占めるモール型(「Amazonマーケットプレイス5」)の割合が増加している。モール型の割合を増加することで、商品の品揃えを増やし、利用者の利便性向上を目指していると考えられる。一方、モール型の代表格であるヤフーや楽天では、直販を強化している。即時配送が求められる中で、配送を柔軟にコントロールしやすい直販の利点を重視しはじめたと推察される。このように、大手インターネット通販事業者は、「モール型」と「直販型」を融合したビジネスモデルに向かっている。
インターネット通販の物流は、「モール型」、「直販型」いずれのビジネスモデルにおいても、消費者への配達部分(ラストワンマイル)は宅配便事業者に依存している。そのため、宅配便取扱個数は、インターネット通販市場の拡大とともに、大幅に増加しており、2016年度は約40.2億個に達した(図表12)。宅配便取扱個数の事業者別割合をみると、上位3社(ヤマト運輸㈱・佐川急便㈱・郵便事業㈱)の寡占化が進んでいる。日本郵便「ゆうパック」と日本通運「ペリカン便」が統合した2010年以降は、3社で9割以上のシェアを占めており、2016年度は93.4%に達した(図表13)。
大手3社とも通販市場拡大に伴う需要増大に伴い、宅配便ネットワーク体制の整備を進めてきた。ヤマト運輸は、集荷した荷物を夜間にまとめて幹線輸送していたが、東名阪にゲートウェイターミナルを設置し、日中からゲートウェイ間を多頻度運行することで納品時間を短縮した。佐川急便は、ローソンと合弁会社「SGローソン」を2015年に設立し、ローソン店舗を起点とした配送および御用聞きサービスを開始している。日本郵便は、総額1800億円を投じ、2018年度までに全国20カ所に大規模物流拠点「メガ物流局」を整備する予定である。
大手3社とも通販市場拡大に伴う需要増大に伴い、宅配便ネットワーク体制の整備を進めてきた。ヤマト運輸は、集荷した荷物を夜間にまとめて幹線輸送していたが、東名阪にゲートウェイターミナルを設置し、日中からゲートウェイ間を多頻度運行することで納品時間を短縮した。佐川急便は、ローソンと合弁会社「SGローソン」を2015年に設立し、ローソン店舗を起点とした配送および御用聞きサービスを開始している。日本郵便は、総額1800億円を投じ、2018年度までに全国20カ所に大規模物流拠点「メガ物流局」を整備する予定である。
前述の通り、宅配便ネットワーク体制の整備は進んでいる。一方、労働需給が極めて逼迫している中で、宅配便の現場では、取扱個数の急増も相まって深刻な人手不足となっている。人手不足の影響を受けて、2017年は、宅配事業者によるインターネット通販事業者に対する配送料金の値上げ要請や荷受け量の総量規制、時間帯指定配達の見直し等が行われた。「宅配便」の輸送指数(日本銀行「企業向けサービス価格指数」)は、企業物流の中心である「貸切貨物」や「積合せ6貨物」の輸送指数と比較して、大幅に上昇している(図表14)。
公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会「物流コスト調査」によれば、物流サービスが極めて重要な通販企業の売上高物流コスト比率は12%程度と、全業種平均(約5%)に比べて高い水準にある(図表15)。ラストワンマイルを担う宅配便の配送料値上げは、通販企業の業績を悪化させることになる。
また、消費者がインターネット通販を利用する理由として、実店舗で購入するよりも安いという理由は上位に挙がる。配送料の値上げは消費者の負担増につながり、市場拡大の阻害要因として働くと考えられる。
公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会「物流コスト調査」によれば、物流サービスが極めて重要な通販企業の売上高物流コスト比率は12%程度と、全業種平均(約5%)に比べて高い水準にある(図表15)。ラストワンマイルを担う宅配便の配送料値上げは、通販企業の業績を悪化させることになる。
また、消費者がインターネット通販を利用する理由として、実店舗で購入するよりも安いという理由は上位に挙がる。配送料の値上げは消費者の負担増につながり、市場拡大の阻害要因として働くと考えられる。
4 林克彦・根本敏則『ネット通販と宅配便における物流革新』国際交通安全学会誌VoL41No.1、平成28年6月
5 各企業がネットショップを出店するのではなく、商品を出品するビジネスモデルのモール型EC。商品のデータ管理はアマゾンを行っている。
6 一台の車両に複数の荷主の貨物を積合せて輸送すること。
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