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コラム
2018年06月07日
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バランス型の資金流入が増加
日経平均22,500円が意識される国内株式
国内株式の900億円弱の資金流入のうち、750億円程度が中小型株アクティブ・ファンドへの資金流入であり、引き続き中小型株アクティブ・ファンドの人気が高かった。5月は昨年秋の設定以来、大規模な資金流入が続いている「JPMザ・ジャパン(年4回決算型)」に加えて、「三井住友・げんきシニアライフ・オープン」も100億円以上の資金を集めた【図表2:青字】。「三井住友・げんきシニアライフ・オープン」は2000年に設定されたいわば古株ファンドである。4月に格付投資情報センター社が毎年行っている調査で表彰されたことがきっかけに、投資家の注目が集まったものと思われる。
また、5月はパッシブ・ファンドからの資金流出が100億円と4月の140億円から比べてやや鈍化した。ただし、日経平均が22,500円を超えた9日から23日にかけては、資金流出が顕著であった【図表3:黄棒】。特に14日には1日で150億円以上の資金が流出し、9日から23日までの累計で450億円を超える流出した。その一方で、株価が下落して日経平均株価が再び22,500円を下回った24日以降は一転して資金が流入し、流入金額は累計で300億円を超えた。
パッシブ・ファンドの資金フローから、5月は「日経平均株価22,500円」が多くの投資家に意識されていたことが分かる。日経平均株価が22,500円を超える水準では積極的に購入する投資家は少なく、逆に利益確定売りに動く投資家が多かったようだ。
また、5月はパッシブ・ファンドからの資金流出が100億円と4月の140億円から比べてやや鈍化した。ただし、日経平均が22,500円を超えた9日から23日にかけては、資金流出が顕著であった【図表3:黄棒】。特に14日には1日で150億円以上の資金が流出し、9日から23日までの累計で450億円を超える流出した。その一方で、株価が下落して日経平均株価が再び22,500円を下回った24日以降は一転して資金が流入し、流入金額は累計で300億円を超えた。
パッシブ・ファンドの資金フローから、5月は「日経平均株価22,500円」が多くの投資家に意識されていたことが分かる。日経平均株価が22,500円を超える水準では積極的に購入する投資家は少なく、逆に利益確定売りに動く投資家が多かったようだ。
高パフォーマンスでも関心が薄らぐAI関連ファンド
その他、米国株式は市場全体で見ると小幅な上昇であったが、一部のハイテク関連株や中小型株などは大きく上昇したため、それらの恩恵を享受できたテーマ株ファンドやアクティブ・ファンドも高パフォーマンスであった。「グローバルAIファンド」【図表4:青字】に代表される「AI(人工知能)」に関連するテクノロジー系のテーマ株ファンド(ここでは単純にファンド名に「AI」が含まれているファンドとする。以後、AI関連ファンド)の多くが5%を超える収益率を上げ、総じて好調であった。
「AI」は、2017年に人気を集めたテーマであった。足元1年のAI関連ファンドの資金動向を見ると、大型の新規設定が無かったにもかかわらず2018年1月までは資金流入が続いていた。しかし、2月に資金流入が止まり、3月以降は流出基調となった。5月もパフォーマンスは良好であったが、140億円ほど資金流出した。2月以降のAI関連ファンドの資金フローから見ると、投資家の関心はAI関連ファンドから離れていることがうかがえる。「AI」はこれから実社会に浸透していくテクノロジーであるため、息の長い投資テーマになると思われたが、投資家の関心は移ろいやすく、AI関連ファンドのブームは思ったよりも短いのかもしれない。
「AI」は、2017年に人気を集めたテーマであった。足元1年のAI関連ファンドの資金動向を見ると、大型の新規設定が無かったにもかかわらず2018年1月までは資金流入が続いていた。しかし、2月に資金流入が止まり、3月以降は流出基調となった。5月もパフォーマンスは良好であったが、140億円ほど資金流出した。2月以降のAI関連ファンドの資金フローから見ると、投資家の関心はAI関連ファンドから離れていることがうかがえる。「AI」はこれから実社会に浸透していくテクノロジーであるため、息の長い投資テーマになると思われたが、投資家の関心は移ろいやすく、AI関連ファンドのブームは思ったよりも短いのかもしれない。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
(2018年06月07日「研究員の眼」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
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