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- 中国経済:景気指標の総点検(2018年春季号)~景気は一旦再加速!
2018年03月30日
■要旨
- ここもとの金融マーケットを概観すると、昨年じり高だった中国株は17年の最高値を一時的に突破したものの、米中貿易摩擦の深刻化に伴って米中経済が共倒れとなる恐れがでてきたことなどから調整局面入りしている。一方、人民元は米中貿易摩擦の深刻化に伴って切り上げ圧力が掛かるとの見方が浮上、高値を模索する動きとなっている。また、住宅価格は緩やかな上昇を続けており、短期金利はゆっくりとしたペースで引き上げられている(下左図)。
- 供給面を点検すると、年明け後2月の製造業PMIは3ヵ月連続で低下して50.3%となるなど先行きには不安がでてきたものの、1-2月期の工業生産はコンピュータ通信関連などの好調を背景に前年同期比7.2%増と前四半期(同6.3%増)を大きく上回る伸びを示している。
- 需要面を点検すると、小売売上高は10%弱の伸びで横ばいとなったものの、1-2月期の投資は前年同期比7.9%増と前四半期(同6.3%増)を上回る伸びを示し、輸出額(ドルベース)も同24.4%増と春節の影響もあって前四半期の伸び(同9.7%増)を大きく上回った。
- その他の重要指標を点検すると、工業生産者出荷価格にはピークアウト感がでてきており、通貨供給量(M2)の伸びは1桁台が続いているものの、電力消費量は加速し、貨物輸送量には底打ちの兆しでてきており、銀行融資の伸びは13%前後の高い伸びを維持している。
- ニッセイ基礎研究所で開発した回帰モデルを用いて実質GDP成長率を推計したところ前年同期比7.0%増という推計結果となった(下右図)。4月17日に公表される18年1-3月期の実質GDP成長率は前四半期(同6.8%増)を上回る可能性が高いと見られる。
- 但し、その後の成長率は減速傾向を辿ると予想する。18年の成長率目標を「6.5%前後」と17年実績(6.9%)を下回るレベルに設定、財政赤字の対GDP比も引き下げた。また、「三大堅塁攻略戦(重大リスクの防止・予防、的確な貧困対策、汚染対策)」を断固戦い抜くと宣言、経済運営の重点を「量から質」へと移して「6.5%前後」の安定成長を目指すだろう。
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三尾 幸吉郎
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