2018年03月14日

無期転換ルール導入の課題は?-雇用保障のみならず処遇改善に対する保障の実施も、韓国の事例から学ぶ-

生活研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任   金 明中

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■要旨
 
  • 日本では、2013年4月に改正労働契約法が施行されることにより、今年の4月から、契約社員やパート・アルバイト、そして派遣社員のような有期契約労働者を対象に、「無期転換ルール」がスタートする。
     
  • 無期転換ルールとは、「有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、パートやアルバイトなど雇用期間が定められている有期契約労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルール」である。
     
  • 韓国政府は非正規職の乱用を抑制するとともに、非正規職に対する不合理な差別を是正することなどを目的に、2007年7月から「非正規職保護法」を施行した。「非正規職保護法」には、2年を超える契約労働者は期限の定めの無い「無期労働契約」に転換し、直接雇用することを経営側に義務付けることや賃金や労働条件などにおける不合理な差別を禁止すること、そして差別を受けた非正規職員は、労働委員会に是正命令を求めることができることなどの内容が含まれていた。
     
  • 韓国における「非正規職保護法」の施行が、非正規労働者の割合の減少や無期労働契約の増加に多少の良い影響を与えていると言えるものの、その効果は韓国政府が期待したほど大きくはなかった。つまり、2年を迎える時点で有期契約者の雇止めが発生し、彼らが担当していた仕事が外注化されるケースが頻発した。
     
  • また、「非正規職保護法」の施行により雇用期間が無期に転換されただけで、処遇水準が改善されていない、いわゆる名ばかり正規職も増加した。
     
  • 韓国の経験を参考にすると、日本でも「無期転換ルール」が適用される前に雇い止めが発生する可能性は十分あると考えられる。但し、韓国が「無期転換ルール」の施行後間もなくリーマンショックという経済危機を迎えたことに比べて、日本は現在、労働力不足が深刻な状況であるので、韓国ほど雇い止めが深刻な問題にはならないだろう。
     
  • 雇い止めの深刻性が韓国ほどではないとしても、無期契約労働者の処遇改善に対する対策を怠っては、正規職労働者と無期契約労働者の間に新しい格差が生まれる恐れがある。無期契約労働者の処遇改善のための良策を慎重に考える必要があるだろう。

■目次

1――はじめに
2――韓国では「雇いとめ」が社会問題化
3――結びに代えて
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生活研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

金 明中 (きむ みょんじゅん)

研究・専門分野
労働経済学、社会保障論、日・韓における社会政策や経済の比較分析

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