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- 景気ウォッチャー調査(18年2月)~1月から続く降雪や寒波が景況感を下押し~
3.景気の先行き判断DI(季節調整値):4ヵ月連続の悪化も、50を上回る水準は維持
企業動向関連では、「国内受注量は堅調であるが、海外需要の変動が大きい上に、為替の動向が不透明である」(甲信越・一般機械器具製造業)や「ここ何か月かは、ほぼ現状のレベルで生産量を維持している。ただし、当社の場合は海外販売比率が比較的高く、円高による影響を懸念している」(北陸・精密機械器具製造業)など、一段と強まっている円高基調を懸念するコメントがみられた。また、「同業他社が納期対応できない影響で得意先からの引き合いは増加している。原材料価格が4月以降上昇する見込みであるが、製品価格への転嫁や増産によってカバーしていく」(中国・金属製品製造業)と原材料価格の上昇を販売価格に転嫁する企業も一部にみられるが、「春先以降の受注量はやや持ち直すとみているが、前年に比べると減少傾向が続くのではないか。また、採算割れの状況が継続しているが、価格へのコスト転嫁はかなり難しく、収益的に悪い状況が続く見通しである」(東北・木材木製品製造業)など、価格転嫁が困難で収益が向上しない企業が大多数のようだ。
雇用関連では、「人手不足が続いているため、求人数は減らないと思うが、求人と求職のミスマッチは簡単に解消しない。中小企業においては人手が足りず、受注ができなくなり、この状況が続くと、景気にも経営にも影響を及ぼしかねない」(南関東・職業安定所)など、雇用のミスマッチが長引き、人手不足によって企業活動に支障が生じることを懸念するコメントがみられた。一方で、「求職者の減少傾向から人手不足感が一層強まっていることを背景に、少しでも応募者を増やすため業種を問わず契約社員から正社員に切り替えて募集するケースが増える」(中国・職業安定所)など、労働力を確保するために待遇を改善する企業が増えることに期待するコメントもあった。
高水準で推移していた景況感は1,2月で大幅に悪化したが、降雪や寒波など特殊要因による影響が大きい。先行きは4ヵ月連続で悪化したものの、依然50を上回る水準にある。物価上昇に伴う消費の落ち込みやコスト上昇による収益悪化などの懸念が高まっているが、特殊要因が剥落すれば現状の景況感も改善に向かおう。ただし、一段と強まっている円高基調や米の保護主義的な通商政策の行方など新たな不安要素も広がっており、今後の動向に注意が必要であろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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白波瀨 康雄
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(2018年03月09日「経済・金融フラッシュ」)
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