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病院の待ち時間、かかりすぎじゃない?-「3時間待ちの3分診療」は今は昔?
松岡 博司
3――待ち時間短縮の動き
待ち時間は、基本的には、医師や看護師など医療提供側の処理能力を上回る患者数という、医療提供体制のアンバランスによって起こると考えられます。
外来患者数の最高予想値に備えて医師や看護師の体制整備ができればいいのですが、病院の予算も限られていますし、1日のうちの診察時間という限られた時間内に発生する最高予想数に備えて医師や看護師を多めに雇うことは合理的ではありません。外来者数は季節や曜日によって変動しますし、病院は人気のテーマパークのように入場制限をするという訳にもいきません。
しかも日本では、どの病院でいつ診療を受けるかを患者が自由に選べる仕組みを採っていますので、症状の軽い患者までが大病院に行きがちだという事情もあります。そのため、大病院の待ち時間が長くなるとも言われています。
たとえば病院の機能分化の推進は、次のような施策により、結果として、病院の待ち時間の短縮につながると考えられます。
(1)紹介状の義務化
2016年4月より実施されている、病床数200以上の大病院は紹介状のない患者の初診や再来に対して特別の料金を徴収するとする紹介状の義務化は、大病院への外来患者数を抑制することとなって、結果として大病院における待ち時間が短縮されることが期待されています。
(2)かかりつけ医制の推進
今後いっそうの推進が見込まれている、かかりつけ医を持つことの推奨も、第一次的な医療を地域の開業医等が行い、そのスクリーニングを受けて紹介状を得た患者だけが二次医療機関たる大病院に行くとすることにより、大病院の外来患者数を減らして待ち時間の短縮につながることと期待されています。
(1)予約制の導入
すでに大病院等では導入されていることが多い予約制は、特定の時間枠を一定の人数の患者だけに割り当てられることにより、患者数を平準化させる効果がありますので、待ち時間の短縮に貢献してきたものと考えられます。
(2)待ち時間の見える化
受け付け番号制をとり順番表示モニターで現時点の診察の進行状況を伝え、あと何人で自分の番が来るかを知らせる、院内専用の携帯端末をわたし、診察時間が近づくとブザー等で呼び出し待ち時間中の行動の自由度を高めるといった方式を導入している病院もありますが、これも待ち時間を「見える化」することにより、患者の心理的なストレスを解消することにつながるものと考えられます。
(1)医療機器の性能向上による診察、検査効率のアップ
現在、医療機器の性能の向上が続いていますが、これにより診察、検査の効率化を促されれば、結果として待ち時間の短縮が図られることが期待されます。
(2)遠隔医療、リテールクリニック等
まだ現実味がありませんが、今後、仮にパソコンやスマホ画面を通じて医師とテレビ回線をつなぎ行う遠隔医療が広く普及すれば、あるいは米国に見られるようなドラッグストアやスーパーの一角に資格を持った看護師等が配置され、風邪や慢性糖尿病等の治療や予防注射等を行うリテールクリニックのような形態が普及すれば、軽度の症状の患者がそちらに向かうことにより、病院の待ち時間の短縮が図れるかもしれません。
4――さいごに
松岡 博司
研究・専門分野
(2019年01月10日「基礎研レター」)
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