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- 2017年10-12月期の実質GDP~前期比0.2%(年率0.8%)を予測
2018年01月31日
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●10-12月期は年率0.8%を予測~消費、設備主導で8四半期連続のプラス成長
2017年10-12月期の実質GDPは、前期比0.2%(前期比年率0.8%)と8四半期連続のプラス成長になったと推計される。
住宅投資(前期比▲3.3%)、公的固定資本形成(同▲0.6%)は減少したが、民間消費が前期比0.4%と増加に転じ、設備投資が前期比1.4%と前期から伸びが加速したことから、国内需要は5四半期連続で増加した。一方、輸出は前期比2.1%と好調を維持したが、国内需要の持ち直しと前期の落ち込みの反動から輸入が前期比2.5%と輸出を上回る高い伸びとなったため、7-9月期に成長率を大きく押し上げた外需は、前期比・寄与度▲0.1%(前期比年率▲0.3%)と小幅ながら成長率の押し下げ要因となった。
実質GDP成長率への寄与度は、国内需要が0.3%(うち民需0.3%、公需0.0%)、外需が▲0.1%と予測する。
名目GDPは前期比▲0.0%(前期比年率▲0.0%)とわずかながら5四半期ぶりのマイナス成長となるだろう。GDPデフレーターは前期比▲0.2%(7-9月期:同0.2%)、前年比▲0.0%(7-9月期:同0.1%)、と予測する。民間消費を中心に国内需要デフレーターが前期比0.2%(7-9月期:同0.1%)と伸びを高めたが、原油高の影響などから輸入デフレーターが前期比3.0%となり、輸出デフレーターの伸び(同0.6%)を上回ったことがGDPデフレーターの押し下げ要因となった。
なお、2/14に内閣府から2017年10-12月期のGDP速報が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、実質GDP成長率は2017年4-6月期が下方修正(前期比年率2.9%→同2.7%)、7-9月期が上方修正(前期比年率2.5%→同2.7%)されると予測している。この結果、2017年(暦年)の実質GDP成長率は1.7%、名目GDP成長率は1.4%になると見込まれる。
2017年10-12月期の実質GDPは7-9月期から大きく減速した模様だが、この主因は輸入が7-9月期の減少から増加に転じたことである。輸入は7-9月期に実質GDPを前期比年率1.0%(寄与度)押し上げたのに対し、10-12月期は同▲1.7%押し下げたと予想される。また、民間在庫変動の寄与度も7-9月期の前期比年率1.5%から10-12月期は同▲0.3%に低下したとみられる。輸入の増加、民間在庫変動のマイナス寄与は最終需要の弱さを示すものではなく、7-9月期から10-12月期にかけて景気が実勢として弱まったわけではない。
経済成長の内訳をみると、7-9月期、10-12月期を通して好調なのは輸出、設備投資の企業部門である。一方、10-12月期の民間消費は増加に転じたが、7-9月期と均してみれば横ばい圏の動きにとどまり、住宅投資は2四半期連続で減少した。家計部門は低調な推移が続いていると判断される。
先行きについても、海外経済の回復に伴う輸出の増加、企業収益の改善を背景とした設備投資の回復が続くことが予想される。一方、名目賃金の伸び悩みや物価上昇に伴う実質所得の低迷から家計部門は厳しい状況が続きそうだ。当面は企業部門(輸出+設備投資)主導の経済成長が続く可能性が高い。
住宅投資(前期比▲3.3%)、公的固定資本形成(同▲0.6%)は減少したが、民間消費が前期比0.4%と増加に転じ、設備投資が前期比1.4%と前期から伸びが加速したことから、国内需要は5四半期連続で増加した。一方、輸出は前期比2.1%と好調を維持したが、国内需要の持ち直しと前期の落ち込みの反動から輸入が前期比2.5%と輸出を上回る高い伸びとなったため、7-9月期に成長率を大きく押し上げた外需は、前期比・寄与度▲0.1%(前期比年率▲0.3%)と小幅ながら成長率の押し下げ要因となった。
実質GDP成長率への寄与度は、国内需要が0.3%(うち民需0.3%、公需0.0%)、外需が▲0.1%と予測する。
名目GDPは前期比▲0.0%(前期比年率▲0.0%)とわずかながら5四半期ぶりのマイナス成長となるだろう。GDPデフレーターは前期比▲0.2%(7-9月期:同0.2%)、前年比▲0.0%(7-9月期:同0.1%)、と予測する。民間消費を中心に国内需要デフレーターが前期比0.2%(7-9月期:同0.1%)と伸びを高めたが、原油高の影響などから輸入デフレーターが前期比3.0%となり、輸出デフレーターの伸び(同0.6%)を上回ったことがGDPデフレーターの押し下げ要因となった。
なお、2/14に内閣府から2017年10-12月期のGDP速報が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、実質GDP成長率は2017年4-6月期が下方修正(前期比年率2.9%→同2.7%)、7-9月期が上方修正(前期比年率2.5%→同2.7%)されると予測している。この結果、2017年(暦年)の実質GDP成長率は1.7%、名目GDP成長率は1.4%になると見込まれる。
2017年10-12月期の実質GDPは7-9月期から大きく減速した模様だが、この主因は輸入が7-9月期の減少から増加に転じたことである。輸入は7-9月期に実質GDPを前期比年率1.0%(寄与度)押し上げたのに対し、10-12月期は同▲1.7%押し下げたと予想される。また、民間在庫変動の寄与度も7-9月期の前期比年率1.5%から10-12月期は同▲0.3%に低下したとみられる。輸入の増加、民間在庫変動のマイナス寄与は最終需要の弱さを示すものではなく、7-9月期から10-12月期にかけて景気が実勢として弱まったわけではない。
経済成長の内訳をみると、7-9月期、10-12月期を通して好調なのは輸出、設備投資の企業部門である。一方、10-12月期の民間消費は増加に転じたが、7-9月期と均してみれば横ばい圏の動きにとどまり、住宅投資は2四半期連続で減少した。家計部門は低調な推移が続いていると判断される。
先行きについても、海外経済の回復に伴う輸出の増加、企業収益の改善を背景とした設備投資の回復が続くことが予想される。一方、名目賃金の伸び悩みや物価上昇に伴う実質所得の低迷から家計部門は厳しい状況が続きそうだ。当面は企業部門(輸出+設備投資)主導の経済成長が続く可能性が高い。
●主な需要項目の動向
・民間消費~持ち直しのペースは緩慢
民間消費は前期比0.4%と予測する。2四半期ぶりの増加だが、7-9月期の落ち込み(前期比▲0.5%)を取り戻しておらず、持ち直しのペースは依然として緩慢にとどまっている。消費の基調は強くない。
個人消費を取り巻く環境を確認すると、名目賃金が伸び悩むなかでも、雇用者数の高い伸びを主因として雇用者報酬は比較的順調に伸びている。しかし、個人消費に直結する家計の可処分所得の伸びは、超低金利の長期化に伴う利子所得の低迷、特例水準の解消やマクロ経済スライドによる年金給付額の抑制、年金保険料率の段階的引き上げなどから、雇用者報酬の伸びを大きく下回っている。安倍政権が発足した2012年10-12月期(景気の谷)から2017年7-9月期までの5年弱で実質雇用者報酬は5.4%増えているが、この間に実質可処分所得は▲0.5%減少している(実質可処分所得は当研究所による試算値)。消費低迷の根底には可処分所得の伸び悩みがあると考えられる。
10-12月期の消費関連指標を確認すると、「鉱工業指数」の消費財出荷指数が前期比0.1%(7-9月期:同▲2.3%)、「家計調査」の消費水準指数(除く住居等)が前期比0.2%(7-9月期:同0.3%)、「商業動態統計」の小売業販売額指数(実質)が前期比0.7%(7-9月期:同▲0.1%)といずれも前期比で上昇した。
民間消費は前期比0.4%と予測する。2四半期ぶりの増加だが、7-9月期の落ち込み(前期比▲0.5%)を取り戻しておらず、持ち直しのペースは依然として緩慢にとどまっている。消費の基調は強くない。
個人消費を取り巻く環境を確認すると、名目賃金が伸び悩むなかでも、雇用者数の高い伸びを主因として雇用者報酬は比較的順調に伸びている。しかし、個人消費に直結する家計の可処分所得の伸びは、超低金利の長期化に伴う利子所得の低迷、特例水準の解消やマクロ経済スライドによる年金給付額の抑制、年金保険料率の段階的引き上げなどから、雇用者報酬の伸びを大きく下回っている。安倍政権が発足した2012年10-12月期(景気の谷)から2017年7-9月期までの5年弱で実質雇用者報酬は5.4%増えているが、この間に実質可処分所得は▲0.5%減少している(実質可処分所得は当研究所による試算値)。消費低迷の根底には可処分所得の伸び悩みがあると考えられる。
10-12月期の消費関連指標を確認すると、「鉱工業指数」の消費財出荷指数が前期比0.1%(7-9月期:同▲2.3%)、「家計調査」の消費水準指数(除く住居等)が前期比0.2%(7-9月期:同0.3%)、「商業動態統計」の小売業販売額指数(実質)が前期比0.7%(7-9月期:同▲0.1%)といずれも前期比で上昇した。
・住宅投資~相続税対策の需要一巡などから2四半期連続の減少
・民間設備投資~企業収益の改善を背景に増加が続く
民間設備投資は前期比1.4%と5四半期連続の増加を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷(除く輸送機械)は2017年7-9月期の前期比▲0.1%の後、10-12月期は同3.3%の高い伸びとなった。また、機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2017年7-9月期の前期比4.7%の後、10、11月の平均は7-9月期を3.1%上回っている。
日銀短観2017年12月調査では、2017年度の設備投資計画(含むソフトウェア、除く土地投資額)が前年度比9.0%(全規模・全産業)となり、前年同時期の前年度比3.4%(2016年12月調査の2017年度計画)を上回り、12月調査としては過去10年で最も高い伸びとなっている。設備投資/キャッシュフロー比率は低水準にとどまっており、企業の投資スタンスは積極化しているわけではないが、企業収益の大幅増加に伴う潤沢なキャッシュフローを背景に、設備投資は底堅い動きが続く可能性が高い。
民間設備投資は前期比1.4%と5四半期連続の増加を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷(除く輸送機械)は2017年7-9月期の前期比▲0.1%の後、10-12月期は同3.3%の高い伸びとなった。また、機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2017年7-9月期の前期比4.7%の後、10、11月の平均は7-9月期を3.1%上回っている。
日銀短観2017年12月調査では、2017年度の設備投資計画(含むソフトウェア、除く土地投資額)が前年度比9.0%(全規模・全産業)となり、前年同時期の前年度比3.4%(2016年12月調査の2017年度計画)を上回り、12月調査としては過去10年で最も高い伸びとなっている。設備投資/キャッシュフロー比率は低水準にとどまっており、企業の投資スタンスは積極化しているわけではないが、企業収益の大幅増加に伴う潤沢なキャッシュフローを背景に、設備投資は底堅い動きが続く可能性が高い。
(2018年01月31日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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