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- 貿易統計17年12月-輸入の急増で貿易黒字が急減、10-12月期の外需寄与度はほぼゼロに
2018年01月24日
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1.貿易黒字が急減
財務省が1月24日に公表した貿易統計によると、17年12月の貿易収支は3,590億円と7ヵ月連続の黒字となったが、事前の市場予想(QUICK集計:5,300億円、当社予想は5,763億円)を下回る結果となった。為替レートが前年比で円高方向に転換したことから、輸出入ともに前月から伸びが鈍化したが、原油価格上昇の影響から輸入の伸び(前年比14.9%)が輸出の伸び(同9.3%)を上回ったため、貿易収支は前年に比べ▲2,769億円の悪化となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比4.5%(11月:同5.5%)、輸出価格が前年比4.6%(11月:同10.1%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比5.9%(11月:同2.6%)、輸入価格が前年比8.5%(11月:同14.2%)であった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比4.5%(11月:同5.5%)、輸出価格が前年比4.6%(11月:同10.1%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比5.9%(11月:同2.6%)、輸入価格が前年比8.5%(11月:同14.2%)であった。
季節調整済の貿易収支は868億円の黒字となり、11月の2,896億円から黒字幅が急速に縮小した。輸出は前月比1.3%(11月:同1.6%)の増加となったが、輸入が前月比4.4%(11月:同2.0%)の高い伸びとなったことが貿易収支の悪化につながった。
12月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=62.5ドル(当研究所による試算値)となり、11月の57.7ドルから大幅に上昇した。足もとのドバイ原油は60ドル台後半まで上昇しており、通関ベースの原油価格も2月には60ドル台後半となることが見込まれる。
12月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=62.5ドル(当研究所による試算値)となり、11月の57.7ドルから大幅に上昇した。足もとのドバイ原油は60ドル台後半まで上昇しており、通関ベースの原油価格も2月には60ドル台後半となることが見込まれる。
2.アジア向けが輸出を牽引
12月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比2.8%(11月:同4.8%)、EU向けが前年比1.6%(11月:同▲1.8%)、アジア向けが前年比2.6%(11月:同9.1%)となった。
10-12月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比▲2.1%(7-9月期:同2.8%)、EU向けが前期比0.1%(7-9月期:同▲3.7%)、アジア向けが前期比4.2%(7-9月期:同2.4%)、全体では前期比2.0%(7-9月期:同1.8%)となった。
自動車輸出が不調だった米国向けは3四半期ぶりのマイナスとなったが、IT関連を中心とした世界的な製造業サイクルの好転を背景に高い伸びを続けるアジア向けが牽引役となり、輸出は全体として好調を維持している。
一方、10-12月期の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は、国内需要の持ち直しを反映し、前期比2.8%(7-9月期:同▲0.6%)と2四半期ぶりに上昇した。
10-12月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比▲2.1%(7-9月期:同2.8%)、EU向けが前期比0.1%(7-9月期:同▲3.7%)、アジア向けが前期比4.2%(7-9月期:同2.4%)、全体では前期比2.0%(7-9月期:同1.8%)となった。
自動車輸出が不調だった米国向けは3四半期ぶりのマイナスとなったが、IT関連を中心とした世界的な製造業サイクルの好転を背景に高い伸びを続けるアジア向けが牽引役となり、輸出は全体として好調を維持している。
一方、10-12月期の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は、国内需要の持ち直しを反映し、前期比2.8%(7-9月期:同▲0.6%)と2四半期ぶりに上昇した。
3.10-12月期の外需寄与度はほぼゼロに
12月までの貿易統計と11月までの国際収支統計の結果を踏まえて、17年10-12月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出、輸入ともに前期比2%程度の増加となることが見込まれる。この結果、10-12月期の外需寄与度は前期比でほぼゼロ%(7-9月期:同0.5%)となることが予想される。輸出は好調を維持したが、輸入が国内需要の持ち直しや7-9月期の落ち込み(前期比▲1.6%)の反動から高めの伸びとなったため、外需による押し上げ幅は7-9月期から大きく縮小するだろう。
当研究所では鉱工業生産、家計調査、建築着工統計等の結果を受けて、1/31のweeklyエコノミストレターで10-12月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。外需による大きな押し上げは期待できないものの、民間消費、設備投資などの国内民間需要が底堅い動きとなっていることから、現時点では前期比年率1%台半ばのプラス成長を予想している。
当研究所では鉱工業生産、家計調査、建築着工統計等の結果を受けて、1/31のweeklyエコノミストレターで10-12月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。外需による大きな押し上げは期待できないものの、民間消費、設備投資などの国内民間需要が底堅い動きとなっていることから、現時点では前期比年率1%台半ばのプラス成長を予想している。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年01月24日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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