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- 鉱工業生産17年12月-生産の好調が続くが、IT関連財の牽引力は弱まる
2018年01月31日
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1.10-12月期は増産ペースが加速
経済産業省が1月31日に公表した鉱工業指数によると、17年12月の鉱工業生産指数は前月比2.7%(11月:同0.5%)と3ヵ月連続で上昇し、事前の市場予想(QUICK集計:前月比1.6%、当社予想は同1.2%)を上回る結果となった。出荷指数は前月比2.7%と2ヵ月連続の上昇、在庫指数は前月比▲0.4%と2ヵ月連続の低下となった。
12月の生産を業種別に見ると、情報通信機械(前月比▲1.4%)は低下したが、輸送機械(同6.3%)、はん用・生産用・業務用機械(同4.8%)が高い伸びとなるなど、速報段階で公表される15業種中、12業種が前月比で上昇、3業種が低下した。
17年10-12月期の生産は前期比1.8%と7四半期連続で上昇し、7-9月期の同0.4%から伸びが大きく加速した。業種別には、国内外の設備投資回復を反映しはん用・生産用・業務用機械が前期比4.2%の大幅増産となり、7-9月期に前期比▲0.2%の低下となった輸送機械も同3.1%の高い伸びとなった。一方、IT関連財を含む電子部品・デバイスは前期比▲0.2%と6四半期ぶりの低下、情報通信機械は前期比▲1.5%と2四半期連続の低下となった。
12月の生産を業種別に見ると、情報通信機械(前月比▲1.4%)は低下したが、輸送機械(同6.3%)、はん用・生産用・業務用機械(同4.8%)が高い伸びとなるなど、速報段階で公表される15業種中、12業種が前月比で上昇、3業種が低下した。
17年10-12月期の生産は前期比1.8%と7四半期連続で上昇し、7-9月期の同0.4%から伸びが大きく加速した。業種別には、国内外の設備投資回復を反映しはん用・生産用・業務用機械が前期比4.2%の大幅増産となり、7-9月期に前期比▲0.2%の低下となった輸送機械も同3.1%の高い伸びとなった。一方、IT関連財を含む電子部品・デバイスは前期比▲0.2%と6四半期ぶりの低下、情報通信機械は前期比▲1.5%と2四半期連続の低下となった。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は17年7-9月期の前期比▲0.2%の後、10-12月期は同4.2%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は17年7-9月期の前期比0.4%の後、10-12月期は前月比0.9%となった。17年7-9月期のGDP統計の設備投資は前期比1.1%の増加となったが、企業収益の大幅増加に伴う潤沢なキャッシュフローを背景に10-12月期はさらに伸びを高める可能性が高いだろう。

17年7-9月期に前期比▲0.5%と5四半期ぶりの減少となったGDP統計の民間消費は、10-12月期には増加に転じる可能性が高い。ただし、実質所得の伸び悩みが続いていることから、力強い回復には程遠い状況が続くだろう。
2.IT関連財の在庫調整には要注意
製造工業生産予測指数は、18年1月が前月比▲4.3%、2月が同5.7%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(12月)、予測修正率(1月)はそれぞれ▲1.3%、▲1.1%であった。17年12月の生産指数を18年1、2月の予測指数で先延ばし(3月は横ばいと仮定)すると、18年1-3月期は前期比1.2%となる。生産計画が下方修正される傾向が続いていることを考慮すれば、10-12月期から減速する可能性が高いが、内外需要の堅調を背景に鉱工業生産は18年入り後も底堅い推移が続くことが予想される。
ただし、これまで生産の牽引役となっていたIT関連財の勢いが鈍化している点には注意が必要だ。IT関連財の生産を四半期ベースでみると、16年7-9月期の前期比4.3%をピークに伸び率の低下が続き、17年7-9月期が前期比0.3%、10-12月期が同0.1%と年後半はほぼ横ばいの動きにとどまっている。16年後半から17年初め頃にかけては生産全体の伸びを大きく上回っていたが、17年度入り後は逆に全体の伸びを下回り、IT関連財の牽引力は弱まっている。
また、10-12月期のIT関連財の出荷・在庫バランス(出荷・前年比-在庫・前年比)は、出荷の伸びが7-9月期の前年比7.7%から同1.9%へと鈍化する一方、在庫が前年比10.9%(7-9月期は同▲5.2%)の大幅上昇となったことから、7-9月期の12.9%ポイントから▲9.0%ポイントへと大きく悪化した。現時点では、IT関連の輸出が好調に推移していることから、IT発の生産調整のリスクは低いと考えられるが、輸出の勢いが弱まった場合にはIT関連財の在庫調整圧力が大きく高まるリスクがあることには注意が必要だろう。
ただし、これまで生産の牽引役となっていたIT関連財の勢いが鈍化している点には注意が必要だ。IT関連財の生産を四半期ベースでみると、16年7-9月期の前期比4.3%をピークに伸び率の低下が続き、17年7-9月期が前期比0.3%、10-12月期が同0.1%と年後半はほぼ横ばいの動きにとどまっている。16年後半から17年初め頃にかけては生産全体の伸びを大きく上回っていたが、17年度入り後は逆に全体の伸びを下回り、IT関連財の牽引力は弱まっている。
また、10-12月期のIT関連財の出荷・在庫バランス(出荷・前年比-在庫・前年比)は、出荷の伸びが7-9月期の前年比7.7%から同1.9%へと鈍化する一方、在庫が前年比10.9%(7-9月期は同▲5.2%)の大幅上昇となったことから、7-9月期の12.9%ポイントから▲9.0%ポイントへと大きく悪化した。現時点では、IT関連の輸出が好調に推移していることから、IT発の生産調整のリスクは低いと考えられるが、輸出の勢いが弱まった場合にはIT関連財の在庫調整圧力が大きく高まるリスクがあることには注意が必要だろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年01月31日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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