2018年01月26日

消費者物価(全国17年12月)-コアCPI上昇率は当面1%弱の推移が続く見込み

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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1.コアCPI上昇率は前月と変わらず

消費者物価指数の推移 総務省が1月26日に公表した消費者物価指数によると、17年12月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.9%(11月:同0.9%)となり、上昇率は前月と変わらなかった。事前の市場予想(QUICK集計:0.9%、当社予想は1.0%)通りの結果であった。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合は前年比0.3%(11月:同0.3%)と上昇率は前月と変わらず、総合は前年比1.0%(11月:同0.6%)と上昇率が前月から大きく拡大した。これは天候不順の影響などから生鮮食品が11月の前年比▲6.1%から同4.8%へと上昇率が大きく高まったためである。
コアCPIの内訳をみると、電気代(11月:前年比7.3%→12月:同6.7%)、ガス代(11月:前年比4.8%→12月:同4.3%)、ガソリン(11月:前年比10.5%→12月:同10.3%)、灯油(11月:前年比26.0%→12月:同16.5%)の上昇幅がいずれも縮小したため、エネルギー価格の上昇率は11月の前年比8.5%から同7.7%へと縮小した。
消費者物価指数(生鮮食品除く、全国)の要因分解 一方、生鮮食品を除く食料(11月:前年比1.1%→12月:同1.2%)、教養娯楽(11月:前年比0.3%→12月:同0.4%)、諸雑費(11月:前年比0.5%→12月:同0.7%)は前月から伸びを若干高め、エネルギーの上昇ペース鈍化を打ち消す形となった。

CPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが0.57%(11月:0.61%)、食料(生鮮食品を除く)が0.28%(11月:0.28%)、その他が0.06%(11月:0.01%)であった。

2.コアCPI上昇率は当面1%弱で推移する見込み

18年1月の東京都区部のコアCPIは前年比0.7%(12月:同0.8%)となり、上昇率は前月から0.1ポイント縮小した。事前の市場予想(QUICK集計:0.8%、当社予想も0.8%)を下回る結果であった。
消費者物価指数(生鮮食品除く、東京都区部)の要因分解 ガソリン(12月:前年比10.6%→1月:同9.4%)、灯油(12月:前年比7.4%→1月:同6.6%)、電気代(12月:前年比7.9%→1月:同7.4%)、ガス代(12月:前年比7.7%→1月:同6.4%)の上昇幅がいずれも縮小したため、エネルギー価格の上昇率が12月の前年比8.2%から同7.4%へと縮小した。一方、被服及び履物(12月:前年比0.5%→1月:同1.1%)、教養娯楽(12月:前年比0.6%→1月:同0.7%)は前月に続き上昇率を高め、コアCPIを押し上げた。

東京都区部のコアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.36%(12月:0.40%)、食料(生鮮食品を除く)が0.20%(12月:0.20%)、その他が0.14%(12月:0.21%)であった。
日銀が基調的な物価変動を把握するために重視している「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の上昇率は全国、東京都区部ともに前月と変わらず、基調的な物価上昇圧力が高まる動きは見られない。コアCPI上昇率は、当面エネルギー価格の動向に左右される展開が続くことになろう。
コアCPIに対するエネルギーの寄与度 最近の原油価格の大幅上昇を受けて、ガソリン、灯油の前年比上昇率は2月以降、再び伸びを高める公算が大きい。一方、原油価格の動きが遅れて反映される電気代、ガス代の前年比上昇率が高まるのは18年度入り後になるだろう。エネルギーによるコアCPI上昇率の押し上げ寄与は17年度末から18年度入り後にかけて0.5%程度の推移が続くことが予想される。

この結果、コアCPI上昇率は単月では1%に達することもありうるが、均してみれば当面1%弱の推移が続くことが予想される。
 
 

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2018年01月26日「経済・金融フラッシュ」)

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