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- 外株インデックス投信を薦める3つの理由~「つみたてNISA」の商品選びに迷ったら~
コラム
2018年01月24日
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新年2018年を迎え、「つみたてNISA」がついにスタートしました。「つみたてNISA」の口座は作ったものの、購入する商品を決められず、まだ始められてない方もいるのではないでしょうか。対象商品は現行のNISAと比べてかなり絞られているとはいえ、それでも130本以上あります。さらに運用期間が最長で20年と長い上に、運用期間中に商品の入れ替えが出来ないため、悩んでいる方も多いと思います。
筆者は「つみたてNISA」で購入する商品を迷われているのでしたら、とりあえず外国株式のインデックス投資信託を軸に検討してみることを薦めています。具体的には4つの海外株式指数1に連動しているインデックス投資信託(執筆時点で22本)です。その理由は3つあります。
1 「MSCI ACWI Index」、「FTSE Global All Cap Index」、「MSCI World Index(MSCIコクサイ・インデックス)」、「FTSE Developed All Cap Index」の4指数
筆者は「つみたてNISA」で購入する商品を迷われているのでしたら、とりあえず外国株式のインデックス投資信託を軸に検討してみることを薦めています。具体的には4つの海外株式指数1に連動しているインデックス投資信託(執筆時点で22本)です。その理由は3つあります。
1 「MSCI ACWI Index」、「FTSE Global All Cap Index」、「MSCI World Index(MSCIコクサイ・インデックス)」、「FTSE Developed All Cap Index」の4指数
(1) 高リスク商品であるため
「つみたてNISA」に限らず現行のNISAやiDeCoでは、まず高リスク商品から検討してみると良いと考えています。それは、税制優遇は利益が出れば出るほどその効果が大きくなるため、高いリターンが期待できる高リスク商品は税制優遇のメリットをより享受できると考えられるからです。
加えて、「つみたてNISA」の場合には運用期間が最長で20年までとなっているため、短期的な上昇、下落の影響をあまり気にせず投資することができます。積立に限定されているため、自然に投資するタイミングも分散されます。また、iDeCoと異なり嫌になったら直ぐに止めることができます。そのため、投資初心者の方でも「つみたてNISA」なら高リスク商品に挑戦しやすいと思います。
ただし、高リスク商品は短期的に大きく下落し、元本を大きく毀損する可能性があります。実際に2008年のリーマン・ショック時には、一時的ではありますが世界的に株価が半分近くまで急落しました。高リスク商品に抵抗がある場合などは、購入金額を半分にすればリスクも半分になります。短期的な下落が心配でしょうがない方などは、とりあえず少額から始めていただけると良いと思います。「つみたてNISA」では、最大で年間40万円まで購入することが可能ですが、毎年40万円の枠一杯まで投資する必要は全くありません。毎月5千円、1万円からでも始めていただけたらと思います。
加えて、「つみたてNISA」の場合には運用期間が最長で20年までとなっているため、短期的な上昇、下落の影響をあまり気にせず投資することができます。積立に限定されているため、自然に投資するタイミングも分散されます。また、iDeCoと異なり嫌になったら直ぐに止めることができます。そのため、投資初心者の方でも「つみたてNISA」なら高リスク商品に挑戦しやすいと思います。
ただし、高リスク商品は短期的に大きく下落し、元本を大きく毀損する可能性があります。実際に2008年のリーマン・ショック時には、一時的ではありますが世界的に株価が半分近くまで急落しました。高リスク商品に抵抗がある場合などは、購入金額を半分にすればリスクも半分になります。短期的な下落が心配でしょうがない方などは、とりあえず少額から始めていただけると良いと思います。「つみたてNISA」では、最大で年間40万円まで購入することが可能ですが、毎年40万円の枠一杯まで投資する必要は全くありません。毎月5千円、1万円からでも始めていただけたらと思います。
(2) 地域分散されているため
商品を決める上で、20年先を見通そうとして困っている方もいるかと思います。ご自身の予想や相場観にしたがって、投資する商品を決めるのも一つです。ただ、20年先を正確に見通すのは困難です。ゆえに、予想するのをやめて全方位的に幅広く投資できる商品を選んでしまうのも一つです。外国株式のインデックス投資信託は米国、欧州、アジアといった様々な地域の株式が組入れられています。今後20年で世界的に株価が下落したらどうしようもありませんが、特定の地域に集中投資した場合と比べて、リスクは分散されます。
なお、外国株式のインデックス投信は主に2タイプに分けられます。先進国株だけでなく新興国を含む全世界株タイプ、日本を除く先進国株タイプがあります。全世界株タイプのほうがより地域分散されており良い商品のように感じますが、全世界株タイプにこだわる必要はないと考えています。というのは、全世界株タイプでも日本と新興国に投資している割合はそれぞれの時価総額に比例するため5~10%、10~15%程度です。全世界株タイプでも残りの75~80%は日本を除く先進国に投資しており、大部分は先進国株タイプと同じだからです。よほど新興国株式や日本株式が他の先進国株式と異なる動きをしない限りは、全世界株タイプと日本を除く先進国株タイプは似たようなパフォーマンスになります。つまり、日本を除く先進国株タイプが上昇した場合は全世界株タイプもたいがい上昇し、下落した場合はたいがい下落するといえます。加えて、全世界株タイプは対象商品が執筆時点で6本しかなく、取り扱いがない金融機関もあります。ゆえに、あまり新興国や日本の取り扱いを気にせずに開いた「つみたてNISA」口座で購入可能な外国株式のインデックス投資信託の中から検討していただけたらと思います。
なお、外国株式のインデックス投信は主に2タイプに分けられます。先進国株だけでなく新興国を含む全世界株タイプ、日本を除く先進国株タイプがあります。全世界株タイプのほうがより地域分散されており良い商品のように感じますが、全世界株タイプにこだわる必要はないと考えています。というのは、全世界株タイプでも日本と新興国に投資している割合はそれぞれの時価総額に比例するため5~10%、10~15%程度です。全世界株タイプでも残りの75~80%は日本を除く先進国に投資しており、大部分は先進国株タイプと同じだからです。よほど新興国株式や日本株式が他の先進国株式と異なる動きをしない限りは、全世界株タイプと日本を除く先進国株タイプは似たようなパフォーマンスになります。つまり、日本を除く先進国株タイプが上昇した場合は全世界株タイプもたいがい上昇し、下落した場合はたいがい下落するといえます。加えて、全世界株タイプは対象商品が執筆時点で6本しかなく、取り扱いがない金融機関もあります。ゆえに、あまり新興国や日本の取り扱いを気にせずに開いた「つみたてNISA」口座で購入可能な外国株式のインデックス投資信託の中から検討していただけたらと思います。
(3) 信託報酬(コスト)が相対的に低いため
「つみたてNISA」の対象商品にはバランス型投資信託があり、その中にも1つ目で上げた理由に当てはまる高リスクな商品があります。また、2つ目で上げた分散という観点からは、地域分散だけでなくREITやコモディティなどの株式以外の資産を組入れているバランス型投資信託のほうが優れています。ただ、バランス型投資信託は資産の配分比率の策定やリバランスなど、株式インデックス投資信託と比べて手間がかかっている分、信託報酬が高めに設定されています。分散という観点からは外国株式のインデックス投資信託は劣っていると思われますが、コストに関してはバランス型投資信託と比べて概ね低くなっています。1年間で0.2%程度の差でも、20年だと信託報酬だけで4%以上の差になります。そのため、バランス型投資信託を考えている方でも、比較対象として外国株式のインデックス投資信託を検討する価値があると思います。
以上の理由から外国株式のインデックス投資信託を筆者は薦めていますが、最適な商品は人それぞれで異なります。当然、全ての方に外国株式のインデックス投資信託が最適であるとは限りませんが、理由で触れた3つ(1)リスク度合、(2)分散度合、(3)コストの差を軸に比較検討していただけると、より商品選びがしやすくなると考えています。
商品選びの際には、手間かも知れませんが公表されている月次レポート(月報)をまずチェックするのがお薦めです。パフォーマンスから投資地域とその比率、バランス型の場合は更に投資資産とその比率などを知ることができます。金融機関や運用会社のHPから簡単に見ることが出来ますので、ぜひ参考にしてみてください。
最後に、「つみたてNISA」は運用損を出したときに損益通算が出来ないことくらいで、利用者にとってほとんどデメリットがない制度です。商品選びは大変かも知れませんが、有効に活用していただけたらと思います。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
(2018年01月24日「研究員の眼」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
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