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- 日銀短観(12月調査)~大企業製造業の景況感は11年ぶりの高水準だが、課題も浮き彫りに
2017年12月15日
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3.需給・価格判断:内外需給は好調、販売価格引き上げの動きは引き続き限定的
(需給判断:内外需給ともに改善)
大企業製造業の国内製商品・サービス需給判断D.I.(需要超過-供給超過)は前回比3ポイント上昇、非製造業も1ポイント上昇。製造業の海外需給も3ポイント上昇した。内外需要ともに好調さがうかがわれる。
一方、先行きについては、国内需給は製造業が1ポイント、非製造業は2ポイント低下と需給緩和への警戒が燻っている。製造業の海外需給も2ポイント低下しており、慎重な見方が強い。
中小企業の国内需給については、製造業が前回から3ポイント上昇、非製造業は2ポイント上昇とともに改善した。製造業の海外需給も1ポイント上昇と改善がみられる。
先行きについては、製造業の海外需給こそ1ポイントの上昇が見込まれているが、国内需給は製造業、非製造業ともに2ポイント低下。需給の緩和が見込まれている(図表4)。
(価格判断:販売価格引き上げの動きは限定的)
大企業製造業の販売価格判断D.I. (上昇-下落)は前回から1ポイント上昇、非製造業も1ポイント上昇した。一方、仕入価格判断D.I.は製造業で4ポイントの上昇、非製造業でも3ポイントの上昇と販売価格判断D.I.以上に上昇している。原料高等に伴う仕入価格の上昇や人手不足に伴う非正規などの人件費上昇分の価格転嫁は殆ど進んでいないことになる。
また、3ヵ月後の先行きについては、製造業が1ポイント低下、非製造業が2ポイント低下している。人手不足感の強い運送業界や外食業界などで一部価格転嫁の値上げが起きているが、今のところ、全体としての値上げ意欲はうかがわれない(図表5)。
中小企業の販売価格判断D.I.は製造業で2ポイント上昇、非製造業で3ポイント上昇した。ただし、仕入価格判断D.I.は製造業、非製造業ともに5ポイント上昇と販売価格以上に上昇している。
先行きの販売価格判断D.I.については、製造業が1ポイント上昇、非製造業が2ポイントの上昇しているが、仕入価格判断D.I.はそれぞれ4ポイント上昇しており、十分な価格転嫁が行われないとの見通しになっている。
大企業製造業の国内製商品・サービス需給判断D.I.(需要超過-供給超過)は前回比3ポイント上昇、非製造業も1ポイント上昇。製造業の海外需給も3ポイント上昇した。内外需要ともに好調さがうかがわれる。
一方、先行きについては、国内需給は製造業が1ポイント、非製造業は2ポイント低下と需給緩和への警戒が燻っている。製造業の海外需給も2ポイント低下しており、慎重な見方が強い。
中小企業の国内需給については、製造業が前回から3ポイント上昇、非製造業は2ポイント上昇とともに改善した。製造業の海外需給も1ポイント上昇と改善がみられる。
先行きについては、製造業の海外需給こそ1ポイントの上昇が見込まれているが、国内需給は製造業、非製造業ともに2ポイント低下。需給の緩和が見込まれている(図表4)。
(価格判断:販売価格引き上げの動きは限定的)
大企業製造業の販売価格判断D.I. (上昇-下落)は前回から1ポイント上昇、非製造業も1ポイント上昇した。一方、仕入価格判断D.I.は製造業で4ポイントの上昇、非製造業でも3ポイントの上昇と販売価格判断D.I.以上に上昇している。原料高等に伴う仕入価格の上昇や人手不足に伴う非正規などの人件費上昇分の価格転嫁は殆ど進んでいないことになる。
また、3ヵ月後の先行きについては、製造業が1ポイント低下、非製造業が2ポイント低下している。人手不足感の強い運送業界や外食業界などで一部価格転嫁の値上げが起きているが、今のところ、全体としての値上げ意欲はうかがわれない(図表5)。
中小企業の販売価格判断D.I.は製造業で2ポイント上昇、非製造業で3ポイント上昇した。ただし、仕入価格判断D.I.は製造業、非製造業ともに5ポイント上昇と販売価格以上に上昇している。
先行きの販売価格判断D.I.については、製造業が1ポイント上昇、非製造業が2ポイントの上昇しているが、仕入価格判断D.I.はそれぞれ4ポイント上昇しており、十分な価格転嫁が行われないとの見通しになっている。
4.売上・利益計画: 売上・利益ともに上方修正
17 年度収益計画(全規模全産業)は、売上高が前年度比3.0%増(前回は2.2%増)、経常利益は5.2%増(前回は1.0%減)へそれぞれ上方修正された。経常利益は従来減益計画であったが、今回大きく上方修正され、増益計画に転じた。堅調な内外需要や想定為替レートの円安方向への修正がプラスに働いたとみられる。
17年度想定為替レート(大規模製造業)は110.18円(上期110.69円、下期109.66円)と、前回の109.29 円から小幅に円安方向へ修正された。今年度11月末までの平均ドル円レートは111円台半ばであり、実績を踏まえて円安方向に修正されたとみられる。ただし、計画は実績や足下の水準(112円台)と比べてまだ円高水準にある。先行き不透明感を考慮して保守的に据え置かれているとみられるが、今後、ドル円レートが横ばいないし円安方向に推移した場合、収益計画の上方修正要因となる。
17年度想定為替レート(大規模製造業)は110.18円(上期110.69円、下期109.66円)と、前回の109.29 円から小幅に円安方向へ修正された。今年度11月末までの平均ドル円レートは111円台半ばであり、実績を踏まえて円安方向に修正されたとみられる。ただし、計画は実績や足下の水準(112円台)と比べてまだ円高水準にある。先行き不透明感を考慮して保守的に据え置かれているとみられるが、今後、ドル円レートが横ばいないし円安方向に推移した場合、収益計画の上方修正要因となる。
(2017年12月15日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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