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- 新興国株式投資は分散が重要?~2017年8月の投信動向~
コラム
2017年09月08日
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大規模な資金流入
2017年8月の国内公募追加型投信(ETFを除く)の推計資金流出入を見ると、内外REIT以外は資金流入しており、全体で5,000億円を超える資金流入があった【図表1】。8月は北朝鮮情勢や欧州のテロなど地政学リスクが意識される展開が続いたが、投資家はリスク性資産を積極的に購入していたことが分かる。特に、外国株式、バランス型、外国債券への資金流入が顕著であり、外国株式については流入金額が3,000億円に迫った。
外国株式の中では、先進国を中心にグローバルに投資しているファンドへの資金流入が2,000億円を超えていた。さらに、インド株式ファンドも7月(800億円弱)よりは資金流入が減ったが、それでも650億円程度の資金流入があり、引き続き人気が高かった。バランス型ファンドは、資金流入のうち半分程度がリスク・コントロール型のファンドであった。また、外国債券はヘッジ付の先進国債券ファンドと株式同様にインド債券ファンドへの資金流入が主であった。
外国株式の中では、先進国を中心にグローバルに投資しているファンドへの資金流入が2,000億円を超えていた。さらに、インド株式ファンドも7月(800億円弱)よりは資金流入が減ったが、それでも650億円程度の資金流入があり、引き続き人気が高かった。バランス型ファンドは、資金流入のうち半分程度がリスク・コントロール型のファンドであった。また、外国債券はヘッジ付の先進国債券ファンドと株式同様にインド債券ファンドへの資金流入が主であった。
国内株式についても流入金額自体は200億円程度と外国株式と比べて小さいが、2016年6月以来の月間での資金流入となった。日次での推計資金流出入を見ると、日経平均が2万円付近で推移していた上旬は資金流出傾向にあった。資金流出額は8月1日から8日までの累積で400億円を上回った。それが北朝鮮情勢をきっかけに調整した9日以降は、一転してパッシブファンドを中心に資金流入傾向となった。特に10日、14日、15日の3日間でパッシブファンドに350億円程度、資金流入していた。他にも21日や29日、30日も資金流入が大きく、薄商いである中、投信からの資金流入が株価を下支えしていたといえよう。
外国株式の中で特にテーマ型が人気
個別ファンドへの資金流入を見ると、流入上位のうち5ファンドが外国株式のファンドであった。個別ファンドからも外国株式への人気の高さがうかがえる。さらに、5ファンドのうち4ファンドがテーマ型のファンドであった。1位の「野村インド株投資」はインド、6位の「キャピタル・ニューワールド・ファンド」は新興国、5位の「グローバル・ロボティクス株式ファンド」と10位の「グローバル・フィンテック株式ファンド」はハイテク系のテーマ型の株式ファンドである。
なお、流入上位のうち毎月分配型ファンドは2ファンドのみであった。外国REITの毎月分配型ファンドの解約が相次いでいるだけでなく、売れている毎月分配型ファンドも少なかったようだ。
なお、流入上位のうち毎月分配型ファンドは2ファンドのみであった。外国REITの毎月分配型ファンドの解約が相次いでいるだけでなく、売れている毎月分配型ファンドも少なかったようだ。
ブラジル株式ファンドが引き続き好調
8月にパフォーマンスが良好であったファンドを見ると、ブラジル株式ファンドが7月から引き続き好調であった【図表4】。ブラジル・レアルは対円で1%ほど下落したものの、利下げ期待や堅調な商品市況などを好感して、ブラジル株式が8月も大きく上昇したためである。また、8月に最も高パフォーマンスであったロシア株式ファンドも、エネルギーセクターや素材セクターへの投資が大きく、活況な商品市況の恩恵を受けたようだ。
純資産残高を見ると、単一新興国株式ファンドの中でインドに人気が集中している【図表5:左】。その一方でパフォーマンスは、1月はブラジル、2月から4月はインド、5月と6月は中国、そして7月以降は再びブラジルと好調な国がめまぐるしく変動している【図表5:右】。やはり、一つの新興国に集中して投資をするよりも、地域を分散させたほうが、安定したパフォーマンスが得られるのではないだろうか。
純資産残高を見ると、単一新興国株式ファンドの中でインドに人気が集中している【図表5:左】。その一方でパフォーマンスは、1月はブラジル、2月から4月はインド、5月と6月は中国、そして7月以降は再びブラジルと好調な国がめまぐるしく変動している【図表5:右】。やはり、一つの新興国に集中して投資をするよりも、地域を分散させたほうが、安定したパフォーマンスが得られるのではないだろうか。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
(2017年09月08日「研究員の眼」)

03-3512-1785
経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
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