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医療機器の生産・出荷と輸出入-医療機器の輸入超過は、どの程度進んでいるか?

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
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1――はじめに
今後、日本をはじめ、各国で高齢化が進み、医療の需要は高まることが必至である。それに伴い、医療機器のニーズは、量と質の両面で、高まっていくこととなろう。
本稿では、医療機器について、生産と輸出入の動向を概観する。そして、日本の医療機器開発の強みや課題を見ていくこととしたい。
2――医療機器の生産・出荷と輸出入の概要
1 薬事工業生産動態統計は、国内の生産力の実態を明らかにすることを目的としており、貿易実態を把握するための利用には適さないとされる。医療機器の輸出入は、最終製品が対象となる。例えば、製造販売所が、国内の輸出業者に製品を販売して、それを輸出業者が輸出する場合、輸出業者への国内向け出荷とみなされ、輸出には含まれない。また、集計対象を国内の製造販売所又は製造所としているため、海外で現地生産し海外展開している製品は、この調査では集計の対象外となる。この統計を利用して、数値をみる際には、こうした点に注意が必要となる。
2 出荷と輸出の合計額と、生産と輸入の合計額の間に差が生じているが、この分は、医療機器の製造販売所又は製造所の在庫の増減となっている。
3――医療機器の種類別の状況
3 CTはComputerized Tomography(コンピューター断層撮影法)、MRIはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴映像法)の略。
また、生体機能補助・代行機器の国内向け出荷も、1,200億円以上増加している。その内訳を見ると、人工血管、人工心臓弁、ステント、血液浄化器などの出荷が増加している。背景には、動脈瘤の治療法として、人工血管にステントの付いたステントグラフトを用いて行う血管内治療が、増加していることなどが挙げられる。
一方、医用検体検査機器の輸出は、約900億円の増加、と大きく伸びている。血液などの検体中の成分濃度測定をする、臨床化学自動分析装置や、血液検査機器の輸出が伸びたことが、主な要因となっている。
また、診断系機器以外では、処置用機器も、300億円以上、輸出が増加している。特に、減菌済み血管用チューブ及びカテーテルの輸出の伸びが大きい。
2015年の主な輸出内容を輸出先ごとに見ると、上位は、次の表のようになる。金額では、アメリカへの、処置用機器や画像診断システムの輸出。ドイツや韓国への、医用検体検査機器の輸出。中国への、画像診断システムの輸出が大きい。
4 2016年から2年間、課税が一時的に凍結されている。
5 中国政府は、2014 年以降、「中華人民共和国政府調達法」(2003年施行)を徹底して、優先的に国産医療機器の購入を進める方針を明らかにしている。具体的には、対象製品を指定し、公立病院に対して国産医療機器の調達を推奨している。その背景には、自国の医療機器産業の振興とともに、海外製品の輸入による医療機器コスト増大の抑制があるものと考えられる。
(2017年08月15日「基礎研レター」)

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
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