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- 高齢者がより活躍できる労働市場の構築を目指して-同一労働同一賃金の原則が高齢者にも適用できる取り組みの実施を-
高齢者がより活躍できる労働市場の構築を目指して-同一労働同一賃金の原則が高齢者にも適用できる取り組みの実施を-
生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中
- 政府は労働力人口の減少に対応する目的で2004年に高年齢者雇用安定法を改正(2006年4月1日施行)し、それまで努力義務であった 65 歳までの高年齢者雇用確保措置を「義務」に格上げした。
- 2012年の高年齢者雇用安定法の改正(2013年4月1日施行)では、継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みを廃止するとともに、継続雇用制度の対象者を当該企業とその子会社から、関連会社まで広げた。
- 定年の引き上げが義務化された最も大きな理由としては、公的年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられたことが挙げられる。
- 企業の措置内容を見ると、(1)定年制の廃止や(2)定年の引上げという措置を実施した企業の割合はそれぞれ2.7%、16.1%に過ぎず、81.3%の企業が(3)継続雇用制度を導入していることが明らかになっている。
- 企業が(1)定年制の廃止や(2)定年の引上げという措置を行わず、主に(3)継続雇用制度を導入している背景には日本的経営の特徴とも言える「年功序列型賃金制度」があるからである。
- 改正高年年齢者雇用安定法の施行により、高年齢者がより長く労働市場で活躍することになったものの、高年齢者の多くが非正規労働者で働いていたり、賃金水準が定年前に比べて大きく低下しており、労働市場に長く参加できたことが必ずしも高年齢者の生活の質を高めたとは言えなくなった。
- 人口の減少が進むなかで今後経済成長を維持するためには高齢者がより活躍できる環境を構築する必要がある。そのためには現在政府が実施している同一労働同一賃金の原則が高齢者にも適用されるなど高齢者であることを理由に労働市場で差別されないように制度や意識を改善することが大事である。
■目次
1――はじめに
2――高年齢者雇用安定法の改正と定年の引き上げ
3――増加する高齢者の労働市場への参加
4――今後の課題
(2017年07月24日「基礎研レター」)
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生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
金 明中 (きむ みょんじゅん)
研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計
03-3512-1825
- プロフィール
【職歴】
独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職
・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
・2021年~ 専修大学非常勤講師
・2021年~ 日本大学非常勤講師
・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
・2024年~ 関東学院大学非常勤講師
・2019年 労働政策研究会議準備委員会準備委員
東アジア経済経営学会理事
・2021年 第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員
【加入団体等】
・日本経済学会
・日本労務学会
・社会政策学会
・日本労使関係研究協会
・東アジア経済経営学会
・現代韓国朝鮮学会
・韓国人事管理学会
・博士(慶應義塾大学、商学)
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