2017年07月19日

海外や日本におけるクラウドワーカーの現状や課題―新しいワーキングプアや貧困・格差の拡大を防ぐ対策の実施を―

生活研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任   金 明中

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■要旨
 
  • 最近、マスコミからギグ・エコノミー(gig economy)やクラウドワーカー(crowd worker)という言葉をよく耳にする。クラウドワークとは、インターネットのプラットフォームを通じて単発の仕事を依頼したり請け負ったりする働き方の経済形態を意味する。
     
  • 2016年時点のアメリカのフリーランス人口は5,500万人にのぼり、働く人の35%がフリーランスという働き方で労働市場に参加しており、2014年の調査と比べて200万人も増加した。
     
  • インターネット調査の結果によると、イギリスは11%、スウェーデンは12%、ドイツは14%がクラウドワーカーとして働いていると答えている。日本におけるフリーランスの数は2017年現在1,122万人で労働力人口の17%を占めており、前年に比べて5%も増加した。
     
  • クラウドワーカーの類型は多様であり、その範囲も膨大であるので、高度な仕事を求める専門的な業務が存在する一方、お使いのような単純な業務も存在する。そこで、クラウドワーカーという働き方で労働市場に参加している大多数の人は経済的に劣悪な立場におかれているのが現状である。
     
  • 現在、アメリカやヨーロッパではクラウドワーカーの社会的・経済的地位に関する議論が活発に行われるなど、クラウドワーカーの処遇水準を改善させるための動きが少しずつ広がっている。
     
  • 日本では今後同一労働同一賃金が推進されることにより非正規労働者の処遇水準は今より改善されることが予想されるものの、増加するクラウドワーカーに対する対策はまだ行われていない。労働基準法などが適用されず法的に保護されない彼らをこのまま放置しておくと、新しいワーキングプアが生まれ、貧困や格差がより拡大する恐れがある。これを防ぐためにはまず、クラウドワーカーの実態を正確に把握する必要があり、それは政府の主導の下で行われるのが望ましい。
     
  • 非正規労働者のみならずクラウドワーカーの処遇水準の改善のための対策も同時に講じるべきである。現在、実施している家内労働者などに対する特例を拡大・適用することも一つの対案になるだろう。

■目次

1――はじめに
2――用語の定義や由来
3――海外におけるクラウドワーカーの現状
4――日本におけるクラウドワーカーの現状
5――クラウドワーカーの増加における課題や対応
  1|クラウドワーカーの増加における課題
  2|クラウドワーカーなどに対する各国の対応
6――結びに代えて
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生活研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

金 明中 (きむ みょんじゅん)

研究・専門分野
社会保障論、労働経済学、日・韓社会政策比較分析、韓国経済

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レポート紹介

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